【ボクシング】フライ級で寺地拳四朗を待ち受けるファイターたち|期待されるロドリゲス戦は実現可能か?

2024-01-19
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時事/JIJI Press

WBA/WBC/『リング』誌ライトフライ級王者・寺地拳四朗(BMB)は、エディオンアリーナ大阪で、世界ランカーのカルロス・カニサレス(ベネズエラ)を迎えて自身15回目の世界戦に臨む。

このタイトルマッチならびにアンダーカードは、『Prime Video Presents Live Boxing 6』として1月23日(火)、Amazonプライムビデオで独占ライブ配信される。

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寺地(22勝1敗、14KO)は、ライトフライ級(112ポンド=50.80kg以下)でいまだ誕生していないアンディスピューテッド・チャンピオンの座を虎視淡々と狙っている。だが残念なことに、指名試合の兼ね合いやプロモーターの思惑、ボクサー自身のコンディションが複雑に絡み合い、4団体統一戦の実現は難しいものとなっている。

統一戦の実現が難しい状況が続くと、ボクサーも痺れを切らしがちだ。今の寺地もまさにそんな状況にある。10年間ライトフライ級で戦ってきた32歳の寺地としては、体格的な面(そして減量面)からも階級を上げたいと考えるだろう。

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ライトフライ級最強と目される寺地が、エイドリアン・クリエルの持つIBFタイトル、ジョナサン・ゴンサレスの持つWBOタイトルに挑む機会をすんなりと得られないのは残念なことだ。しかし、ひとつ上のフライ級にステップアップすれば、『ジ・アメージングボーイ』には魅力的な試合が待っている。

名門『The Ring』誌(リングマガジン)元編集人で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、フライ級での寺地の対戦相手と目される3人のファイターを紹介する。


Matchroom Boxing

ジェシー『バム』ロドリゲス

昨夏、寺地は『Tru School Sports』の取材で通訳を介して「ロドリゲスと戦ってみたい。コテンパンに打ちのめすけどね」と語っていた。今、軽量級のマッチアップでボクシングファンが熱狂するカードがあるとすれば、まさにこの一戦だろう。

昨年12月にイギリスの曲者ファイター、サニー・エドワーズを9回TKOで破り、現在IBFとWBOの世界フライ級王座を手にしている『バム』ことジェシー・ロドリゲスは、パウンド・フォー・パウンド(PFP)のリストでも常連となっている。一方の寺地も11位~15位にはランクされており、TOP10に入ってしかるべき選手だという主張も根強くある。

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『バム』vs.『アメージング・ボーイ』が実現するとすれば、試合会場はどこになるだろう? 日本であれば、このビッグマッチはフライ級史上屈指のスーパーファイトとして大々的に開催されるに違いない。

ただ、残念なことに、ロドリゲスはフライ級のウェイトをキープするのが厳しくなってきている。テキサス生まれのハードパンチャーは、エドワーズを破ったあと、過去にタイトルを保持したスーパーフライ級への復帰を公言した。

それでも、もし寺地戦が実現するのであれば、『バム』も現在のフライ級に留まる気になるかもしれない。
 


Getty

フリオ・セサール・マルチネス

2019年以来タイトルを保持し続けているにもかかわらず、マルチネスの評価は近年低下していきている。このWBC世界チャンピオンは、明らかに格下の対戦相手との試合を組んできており、当時のIBF王者サニー・エドワーズとの統一戦もはばかることなく避け続けてきた。

昨年12月、マルチネスは無名のボクサー、アンジェリーノ・コルドバと試合予定だったが、挑戦者がビザのトラブルを抱え、試合を辞退する結果に終わった。コルドバの戦績は18勝0敗1分だったが、マルチネスが実際に戦ったなかで、5割以上の勝率を残してきた対戦相手はわずかに2人だけ。これを見れば、現在のマルチネスのやる気が計り知れるというものだ。

22勝(14KO)1敗を誇る寺地とあっては、この後ろ向きなメキシカン・ファイターをリングに引きずり出すのは至難の技になる。


James Chance/ Getty Images

アルテム・ダラキアン

この名前を聞いて、「誰?」と思ったとしても当然だろう。WBAのタイトルホルダーであるウクライナのベテラン・ボクサー、ダラキアンはボクシング界最長の現役フライ級王者だが、2019年以来、年に1回しか試合をしていないからだ。

ロシア・ウクライナ間の紛争の影響もあるだろう。それでもダラキアンは世界タイトル保持者であり、防衛していく義務がある。ありがたいことに、寺地 vs. カニサレス戦のアンダーカードとして、36歳のベテランはユーリ阿久井政悟と対戦する。この試合もチャンピオンのダラキアンにとっては厳しい戦いになるはずだ。

寺地、ダラキアンの両者が同じイベントに参加することで、将来的に両者の試合を組むことも現実性を帯びてくるだろう。もし仮に阿久井が勝ってしまったならば、日本人対決の実現も考えられる。どちらに転んでも、『アメージング・ボーイ』にとっては、ロドリゲス、マルチネスとのマッチアップよりもハードルは低く、早い段階でフライ級のタイトルに挑戦するチャンスが得られるはずだ。

※本記事は一部国際版記事を翻訳し、日本向けの情報を加えた編集記事となる。翻訳・編集:石山修二、編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁