寺地拳四朗の次戦候補エイドリアン・クリエルとは何者? リング誌元編集人が解説|2.17に初防衛戦

2024-02-15
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Melina Pizano/ Matchroom

日本時間2月17日昼、現王者エイドリアン・クリエル vs. 前王者シベナティ・ノンティンガによるIBF世界ライトフライ級タイトルマッチが行われる。この試合の勝者は、WBC/WBA同級統一王者の寺地拳四朗の次戦候補になると見られている。

名門『The Ring』誌(リングマガジン)元編集人で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、昨年11月に新王者となり世界を驚かせたメキシコの新星について解説する。

2023年11月4日まで、当時24歳のエイドリアン・クリエルが何者なのかを知っていた格闘技ファンはあまり多くなかった。この若きファイターが、モナコ・モンテカルロにおいて、当時のIBF世界ライトフライ(ジュニアフライ)級タイトル保持者であるシベナティ・ノンティンガ(南アフリカ)に、無慈悲な2ラウンドKO勝ちを収め、無名の挑戦者から世界チャンピオンに転身したのは、まさにその日だった。

クリエル(24勝4敗1分、5KO)は、メキシコシティ出身の特筆すべき点がないような若手ファイターだった。初めてノンティンガの前に立った彼のプロフィールには試合数の割に目立った勝利はなく、そのささやかなノックアウト率(20.83%)は対戦相手の心に恐怖を与えることはなかった。

だが、これこそ「表紙で本を判断してはいけない」というやつだ。あの日、クリエルは驚くべきパフォーマンスを見せた。

それまで無敗だったノンティンガは開始のゴングから守勢に回り、クリエルの素早いフットワークと攻撃性を前にして居心地が悪そうに見えた。第2ラウンド、南アフリカ人王者がロープに沿って左から抜け出すも、地獄の右オーバーハンドに襲われた。この挑戦者のパンチでチャンピオンは意識を失い、完全に回復するまでに数分を要した。

どこからともなく現れて激勝を収めた新星クリエルは、今後の108ポンド級(-48.9kg、ライトフライ級)の主軸選手になると宣言したが、確かにその将来は非常に明るいと言える。

エイドリアン・クリエルが初防衛戦で戦うのは誰か?

現IBF世界ライトフライ級王者クリエルは、現地時間2月16日金曜日、母国メキシコ南部の州都オアハカでノンティンガと再会する。最初の試合は前王者ノンティンガの防衛戦だったため、契約に再戦条項を入れる権利があった。

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この試合は、DAZNで日本時間2月17日10:00から独占ライブ配信される。

寺地拳四朗はクリエル vs. ノンティンガの勝者と対戦するのか?

寺地拳四郎(23勝1敗、14KO)は、108ポンド部門のWBC/WBAスーパー/リングマガジン認定王座のチャンピオンであり、この階級の最強の座に君臨するキーマンである。

日本のスターは長らくライトフライ級での4団体統一を追求してきたが、これまでのところWBO王者ジョナサン・ゴンザレス(プエルトリコ)との統一戦を実現できていない。ゴンザレス自身、寺地との試合以外も病欠で中止になっており、王者としての地位も危うい、不透明な立場にある。

時事通信

そうなるとIBF王者(クリエル vs. ノンティンガの勝者)との統一戦が先に実現すべき試合となる。

■寺地のライトフライ級時代のタイムリミットが近づく

寺地と「クリエル vs. ノンティンガ: 2」の勝者との対戦は、日本では大きなイベントとなるだろう。この試合が実現すれば、どちらの選手にとってもキャリア最高のファイトマネーが保証される一方、『ジ・アメイジング・ボーイ』の勝利となれば、ここまで築いてきたライトフライ級での伝説的キャリアを決定づけるものとなるはずだ。

しかし、裏腹に寺地のライトフライ級での日々は終わりに近づいていると言っても過言ではない。彼は最近勝利したカルロス・カニサレス戦(1月23日、大阪)では、これまでの試合に比べてパフォーマンスが下回っていた。108ポンド(48.9kg )に合わせるための減量に絶えず苦労していることが報じられており、32歳の今、階級転向は時間の問題と見られている。

こうした現状において、ライトフライ級での統一戦の可能性があるとすれば、早急に実現する必要があるだろう。

■エイドリアン・クリエルの経歴と戦績

  • 本名:エイドリアン・クリエル・ドミンゲス(Adrian Curiel Dominguez)
  • ニックネーム:スペシャル・ワン(Special One)
  • 国籍:メキシコ
  • 生年月日:1999年1月12日(25歳)
  • 高さ:162.5cm
  • リーチ:不明
  • 総試合数:29
  • 戦績:24勝4敗1分、ノックアウト5
  • 主要獲得タイトル:IBF世界ライトフライ級王座

※上記データはBoxRecによるもの


※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向け情報を加えた編集記事となる。翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部 神宮泰暁