日本時間5月19日(日)、サウジアラビア・リヤドで行われた史上初のヘビー級4団体統一戦は、オレクサンドル・ウシクがタイソン・フューリーとの死闘に2-1で判定勝ちを収めた。本記事では、「世紀の一戦」フューリーvsウシクをリアルタイム速報で伝えた。
🥊距離とサイズ問題を実力で乗り越えたウシクが史上初の偉業
1993年11月13日のイベンダー・ホリフィールドvsレノックス・ルイス戦以来となる統一戦で、ヘビー級のアンディスピューテッド王者が、日本時間5月19日、ついに誕生した。4つのベルトの統一は、WBA/WBC/IBF/WBOの世界主要4団体時代以降、ボクシング史上初、正真正銘の偉業だ。
その偉業を達成したのは、サイズ問題(身長差約15cm、リーチ差約18cm、公開計量時体重差約13kg)から、劣勢が伝えられたオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)だった。
序盤はリーチ差に苦しんだウシクだが、次第に距離感をつかむとその正確でシャープなパンチを15cmも高いタイソン・フューリー(英国)の顔面に叩き込み、中盤以降ゲームを支配。最終的に112-115、114-113、113-114、ウシクがスプリットデシジョンでの判定勝ちをもぎ取った。
▼延期を繰り返した史上初のヘビー級4団体統一戦
2021年9月、当時ヘビー級最強と謳われたアンソニー・ジョシュア(英国)からWBA/IBF/WBO王座を奪い取った時もアンダードッグの下馬評だった。だが、ウシクはクルーザー級時代からのコンパクトでスピーディーなボクシングでジョシュアを翻弄し、勝利と3本のベルトを掴んだ。
ロシアによる母国ウクライナ侵攻で一時は選手生活を離れて国防軍に加わったが、ジョシュアとの第2戦に向けて現役に戻り、見事に王座防衛を果たした。
その後、WBC王者タイソン・フューリーとの史上初のヘビー級4団体統一戦に向けた交渉が始まるが、合意に至るまで長い時間を費やし、内定後もさらに延期を繰り返した。
報道で知られるだけでも、2023年4月29日、同年12月23日、2024年2月17日、同年5月18日(すべて現地時間)と度々開催日が変更されてきた。多くがフューリーを起因とする延期だ。
フューリー自身、2度目の引退騒動を前後に、ここ数年はボクサーというよりもリアリティ番組の演者・インフルエンサーとして世間を騒がした。元UFCヘビー級王者フランシス・ガヌーとの「余興」試合で、敗北寸前まで追い込まれ、昨年末の予定日を延期。さらに2月上旬のスパーリングで右目上に裂傷を負い、3か月もの延期を生じさせた。
言動やファイトスタイルを含め、掴みどころのない「ぬらりくらり」が『ジプシーキング』タイソン・フューリーというボクサーの持ち味だけに、ここに至るまでがすべてフューリーの戦術にも見えた。
それに対してオレクサンドル・ウシクは、実直を絵に描いたようなボクサーだ。人気面では当然フューリーに分があり、一般公開された前日計量でも、フューリーに歓声が起きる一方、ウシクにはブーイングも聞こえた。今回の莫大なファイトマネーの分配は、フューリー7、ウシク3とも伝えられた。
ビッグマッチではつねにビハインドの状況に置かれながらも、ウシクはその堅実なボクシングで下馬評を覆してきた。今回も同様だった。
▼ホールド戦術を取らず逃げ回ったフューリー、冷静なウシクのパンチが逃さなかった
序盤のラウンドは、サイズ問題がまさしくウシクに立ちはだかった。有効距離に近づきたいウシクだが、リーチの長いフューリーのパンチにはじき出される場面が多発。ウシクのパンチが空を切る時間が多かった。フューリーは待ちの体勢で強烈なボディとアッパーを突き刺し、ウシクの失速を待っていた。
あとがないウシクは第8Rで勝負に出る。飛び込んでインファイトを仕掛け、フューリーの打ち終わりにビッグショットを叩き込んだ瞬間、流れが変わった。鼻から出血したフューリーは見るからに勢いを失った。懐に飛び込むことに躊躇しなくなったウシクのパンチは、自身の頭上にあるフューリーの顔を正確に捉えるようになる。
フューリーはここ数戦で猛威をふるったクリンチを多様したホールド戦術にいよいよ移行するかと思われたが、ウシクはその隙を与えなかった。
第9R後半、右ストレートで酩酊したフューリーに、ウシクはここぞとラッシュを仕掛ける。ロープにもたれながらダウンを取られたフューリーはどうにかゴングに救われたが、ここが勝負の分かれ目に。
最終Rはフューリーも鮮やかなカウンターを決め、ポイント的に優勢といえたが、ウシクが中盤から試合を支配した事実は判定結果に現れた。最終的には接戦となったが、9Rでのダウンが決め手になった。
▼データが物語るウシクの精確なパンチ、フューリーの敗因は何なのか
ボクシングデータベースサイト『CompuBox』によると、フューリーは、ジャブが286発中62ヒット(21.7%)、強打が210発中95ヒット(45.2%)、全体ヒット率31.7%。対してウシクは、ジャブが147発中48ヒット(32.7%)、強打が260発中122ヒット(46.9%)、全体ヒット率41.8%だった。
試合を通した印象では、ウシクのパンチが空を切る瞬間がよく目に映ったが、エンジンがかかった後半の強打ヒット率で帳消しにした形だ。ジャブではフューリーの顔面に届かないという問題もあったのだろう。後半もジャブが増えてはいるが、やはりミートしていないため、強打にシフトしている節がある。
いずれにせよ見事な戦術でサイズ問題を打破したウシクは、パウンド・フォー・パウンドの首位争いに影響を与える勝利を得た。井上尚弥、テレンス・クロフォードが首位を争う中、今回の試合でどう割り込むか、注目となるだろう。
一方で、フューリーの敗因は何なのか、再戦条項の行使に向けてあぶり出されることになるが、ダーティーで泥臭いボクシングがフューリーの特徴にもかかわらず、今回「キレイなボクシング」を採ったような印象が残った。試合後も「キレイなフューリー」だった。
戦前、元HBOボクシング名物実況アナのジム・ランプレー氏は、フューリーのモチベーションの行き所を指摘し、インフルエンサーとしての活動に向いているなら何が起きても不思議ではないとしていた。試合後、さばさばとウシクの勝利を称えつつも、戦争中の国の選手がえこ贔屓された結果と負け惜しみを忘れなかったフューリーだが、再戦に向けたギラつきはなかった。
🥊リアルタイム速報・試合経過【要手動更新】
8:43 再戦条項について聞かれたフューリー、ウシクはそれぞれ前向きに返答した。フューリーは10月再戦案を示唆した。
8:41 ウシクは「すばらしい時間だった」と話し、戦ったばかりのフューリーとハグを交わした。フューリーは「あの試合は俺が勝ったと信じている。彼は数ラウンド勝ったと思うが、その大半は俺が勝った。まあどうすることもできないのはわかってる。あれはボクシングにおける決定の一つだった。俺たちは二人とも良い試合をした。最善を尽くした」と一旦を飲み込んで笑ったが、やはり納得は行かないようで「ご存知のように、彼(ウシク)の国(ウクライナ)は戦争中なので、人々は戦争中の国の側に肩入れするものさ。俺の考えでは、(そのえこ贔屓を抜きにすれば)この戦いに勝ったので、いずれ戻ってきます」と負け惜しみも述べたが、全体的にさばさばとした印象だった。
8:39 ウシクは今回の勝者向けの「アンディスピューテッド」ベルトを掲げてから、涙で勝利を報告。家族と母国ウクライナに感謝した。
8:38 長い調整時間を経て、バッファー氏がスコアを読み上げる。まずはウシク、次はフューリー、そしてウシク! オレクサンドル・ウシクが史上初のヘビー級4団体統一王者に! これでウシクは男子史上3人目の2階級アンディスピューテッド王者に。
8:34 前半はウシク、中盤はフューリー、後半はウシク、そして最終Rはイーブンのような内容だったが、果たしてジャッジは?
8:33 飛び込んでくるウシクのストレートをかわすフューリーだが、ウシクのチェイスはしつこい。どうにか右カウンターでポイントを取るが、両者ダウンにつながるパンチは当たらず。そのままフルラウンド終了。判定へ。
8:30 最終第12Rゴング。
8:29 余裕を見せたようだが、何もできなかったフューリー。ウシク優勢。最終ラウンドへ!
8:27 第11R、開始直後からウシクは飛び込むように強襲。捌ききれないフューリーはロープを背にする展開が続く。フューリーはインファイトを避けているのか、ホールド戦術にも出てこない。まだ余裕があるとばかり軽やかなステップでサークリングも、ポイントにはつながらないだろう。
8:25 どうにか逃げ切って10Rを終えたフューリー。ポイントはもちろんウシク優勢。第11Rへ。
8:24 ウシクはフューリーをコーナーに追い込んで強烈なワンツー。逃げるフューリーにしっかり左フックを決める。
8:22 第10R、勢いに乗りたいウシクだったが、フューリーは亀になって耐える。
8:20 ウシクの左ストレートをもろに浴びたフューリー。ウシクのラッシュを浴びて、ロープにもたれかかりながらダウン!しかしゴングに救われる。
8:19 第9R、出血のダメージは深くないフューリーだが、ウシクのインファイトの距離が合い始め、左フック、左ストレートの被弾が増える。
8:16 フューリーの打ち終わりにオーバーハンドの強打をミートさせたウシク。フューリーは鼻から出血。文句なしでウシクのラウンド。
8:15 第8R、ポイント的に苦しいウシクがギアを上げ、フューリーの懐に入り込む。正確なワンツーが顔面に刺さる。
8:12 第7R、劣勢のウシクは距離に苦しむ展開。潜り込もうとするとフューリーが上下の強打の打ち分けでせき止める。終盤、ようやくウシクのパンチがフューリーの顔面を捉えるが、フューリーが抑え込んだラウンド。
8:08 第6R、フューリーはここまでの戦術に加え、右アッパーでウシクを撃ち抜くと、すぐにボディショットと多彩な打ち分け。ウシクのガードを抜く攻撃の数々で完全にフューリーのゲームに。
8:05 自身のペースに持ち込んだフューリーは、ノーガードから左右のオーバーハンドフックを見せつけるなど、後半に備えてあえて印象付けるかのような動きでラウンド終了。
8:02 第5R、距離をつかんだフューリーは長いリーチでワンツーボディを連発。クリーンヒットが続く。
8:00 フューリーが距離を上手く支配した印象のラウンド。フューリーが優位か。リングサイドにはウシクと同郷の元世界王者ウラジミール・クリチコの姿。
7:59 第4R、顔を突き出して打ってこいと挑発するフューリーに対し、ウシクは冷静に深追いもせず、適切な距離でジャブを刻むが、リーチ面で空振りもあり、深いところに入れない。1分45秒のところで両者バッティングで一瞬試合が止まるがすぐ再開。
7:56 まだ余裕のあるフューリーは第3R終わりに不敵な笑み。しかし手が出ない場面も多く、ポイント的にはウシクのラウンドか。
7:54 第3R、つかず離れずのウシクは、フューリーのガードを縫うようにボディストレートを刺していく。頭に前手を振るが、狙いはボディか。
7:51 フューリーはワンツーからの右ボディ、さらに逃げながら右ボディと正確な攻撃でしっかりポイントを刻む。第3Rへ。
7:50 第2R、ゴングとともにいきなり強襲の左ストレート。フューリーは押しのけるようなジャブで距離を取る。挑発のポーズで余裕を見せるフューリーだが、ウシクのガードが硬い。
7:47 第1R、フューリーは寄せ付けないように上下のジャブを振りながら、右ボディを発射。ウシクは距離感をつかむことに集中している。カウンター気味の左フックを浴びてコーナーに詰められたフューリーだが、ダンスで威嚇し、会場を沸かせた。
7:44 ルール説明を経て、いよいよリング上はレフェリーと両者のみとなり、第1Rのゴング!
7:43 タイトルマッチ認証から名物リングアナ、マイケル・バッファー氏の「Ready to Rumbleeeeeee!」の名調子。ウシク、フューリーのコール。
7:36 英国国歌演奏。リングサイドにはアンソニー・ジョシュアとクリスティアーノ・ロナウドの姿。
7:35 ウクライナ国歌演奏。ウシクは手を胸にあてている。
7:31 タイソン・フューリーがリングイン。いつもものトレードカラーのケルティックグリーンのジャケットを羽織って登場。
7:29 オレクサンドル・ウシクがリングイン。ウクライナの部族服のような帽子とガウン姿。
7:28 長いメインイベントオープニングパフォーマンスが終了し、いよいよフューリーvsウシクへ!
🥊試合概要(日程・メインイベント・会場)
- カード:WBA/WBC/IBF/WBO世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦
- タイソン・フューリー(WBC王者、イギリス)vs オレクサンドル・ウシク(WBA/IBF/WBO王者、ウクライナ)
- 試合時刻:日本時間2024年5月19日(日)午前7:00〜7:30頃リングインの見込み
- ※DAZN PPVは5月18日23:00開始でアンダーカードから順次配信
- ※上記の時間は、すべて当日の大会・試合進行次第で前後する。
- 会場:キングダムアリーナ(サウジアラビア・リヤド、最大収容人員26000人)
関連記事:5.19 オレクサンドル・ウシク対タイソン・フューリー|オッズ・見どころ(外部配信)
📺📱💻放送・配信先(テレビ中継・インターネット配信)
この試合は、スポーツ専門の動画配信サービス『DAZN(ダゾーン)』の各種有料プラン加入者向けPPV(アドオンコンテンツ)としてライブ配信される。
地上波・BS/CS(スカパー!)でのテレビ放送および、スポーツ中継実績のあるインターネット配信サービスのAmazonプライムビデオ(アマゾンプライムビデオ)、ABEMA(アベマ)、U-NEXT(ユーネクスト)、SPOTV NOW(スポティービーナウ)、lemino(レミノ)等でのライブ配信予定はない。
放送・配信チャンネル
- テレビ地上波:なし
- テレビBS/CS:なし
- ネット:DAZN PPV
配信日時
- 2024年5月18日(土)23:00~
※試合開催・放送予定は主催者・放送局の都合により変更になる場合があります。最新情報は各公式サイト等をご確認ください。
🥊フューリーvsウシクの視聴方法、おトクな視聴方法は?
今回のフューリーvsウシク戦は『DAZN』の各種有料プラン加入者向けPPV(アドオンコンテンツ)であるため、視聴するにはまず『DAZN』に加入する必要がある。なお、ここでいう各種有料プランとは、「DAZN STANDARD」、「DAZN BASEBALL」、「DAZN GLOBAL」の3つのプランのことを指す。
それぞれの視聴料金は以下の通りだ。
契約プラン | 料金 |
「DAZN GLOBAL」月間プラン | 980円 |
「DAZN STANDARD」月間プラン | 4200円 |
「DAZN STANDARD」年間プラン(一括払い) | 32000円(実質月額2677円) |
「DAZN STANDARD」年間プラン(月々払い) | 月額3200円(年間38400円) |
「DAZN BASEBALL」年間プラン(月々払い) | 月額2300円(年間27600円) |
これらに加えて、「フューリーvsウシク」PPVを視聴するための追加料金は3000円、購入方法は以下の2通りとなる。
- DAZNアプリ or DAZNサイトの「マイ・アカウント」>「アドオン(追加有料コンテンツなど)」>「PPV(ペイ・パー・ビュー)」から購入
- DAZNアプリ or DAZNサイト上の該当番組枠から購入
最安値の「DAZN Global」で通常のボクシング番組は視聴可能だが、人気選手の試合は対象外のケースもあり、DAZNの全コンテンツが見られる「DAZN Standard」以上がオススメとなる。
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※5/15時点。
👀フューリーvsウシクは無料で見られる?
現在、『DAZN』では無料視聴期間を設けておらず、また有料を前提としたPPVとなるため、フューリーvsウシク戦のライブ配信を無料で見る方法は存在しない。
🥊延期を繰り返した史上初のヘビー級4団体統一戦が実現
現在35歳のフューリーは、アマチュア時代の2008年にナショナル・エリート・チャンピオンシップで金メダルに輝くと、プロ転向後の2015年にウラジミール・クリチコ(ウクライナ)を破り、WBA/IBF/WBO世界ヘビー級王者となった。しかしその後、精神疾患に加え、薬物・アルコール乱用といった問題が次々と発覚し、ベルトを返上することとなった。
復帰後、デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)と3度にわたる死闘を繰り広げ、第2戦でWBC世界ヘビー級王座を奪取、さらに混乱を呼んだ3度目の試合で初防衛を果たした。混乱の結果としてアンソニー・ジョシュアとの英国人頂上対決は消滅したが、そのジョシュアからWBA/IBF/WBO王座を奪ったウシクとの4団体統一戦が度々遡上にあがる。
しかし、史上初のヘビー級4団体統一戦は、文字通り紆余曲折を経る。2年近くを費やした交渉の末に合意したはずの2023年12月23日案は、同年10月のフランシス・ガヌー戦における思わぬ苦戦で負ったダメージの回復を理由に、フューリー陣営が延期を要請。2024年2月17日に再設定された。
ところがフューリーは、ウシク戦との4団体統一戦を目前にしたスパーリング中、右目上に11針を縫う怪我を負ったことを2月2日に発表。これに対して、ウシクのマネージャー、エギス・クリマス氏が、フューリーはウシクとの対戦を避けようとしているのではないかとコメントすると、フューリーもポッドキャスト『MMA Hour』の特番のなかでクリマス氏に噛み付き返した。
格闘技ニュースサイト『MMA Fighting』によると、「人生で一番稼げる試合をしたくないなんてことがあるか? 10週間もトレーニングキャンプをしたんだぞ」と語ったと報じられている。
「どうして? なぜ俺が戦いたくないと思う? 先に逃げたのはお前だろう(2023年、再戦条項で折り合わず、ウシク側が交渉を打ち切ったとされている)。お前はこれまで本当のファイトをしたことのないクズ野郎だ。お前がオレを臆病者呼ばわりするなんてふざけるな」
『クズ野郎』と揶揄されたウシクだが、世間を騒がせてきたフューリーとは違い、粛々とその輝かしいキャリアを歩んできた。
2012年のロンドン五輪ヘビー級金メダリストであるウシクは、2013年にプロデビューを果たすと、2016年にはWBO世界クルーザー級王座を獲得した。その後、2017〜18年に『ワールドボクシングスーパーシリーズ』(WBSS)クルーザー級トーナメントに参加すると、マイリス・ブリエディス(ラトビア)を破ってWBC王座、決勝ではムラト・ガシエフ(ロシア)を破ってWBA、IBF、リング誌のタイトルを手に入れ、クルーザー級のアンディスピューテッド・チャンピオンとなった。
母国ウクライナのロシア軍侵攻の影響もあり、ジョシュアとの連戦の間に一時は軍籍に身を投じて選手生活を離れたが、現在は3団体統一王者としてリングに戻った。直近のダニエル・デュボア戦はローブロー騒動があったものの、9回TKO勝ちで防衛に成功している。
ここ数年、ファンの間ではフューリー、ワイルダー、ジョシュアの3人の間での対戦を望む声が多く聞かれていた。だが、試合の延期や思いがけぬ試合結果、ドラマチックな展開など紆余曲折を経て、ついにヘビー級の王座統一への道が開けた。
1999年、レノックス・ルイスがイベンダー・ホリーフィールドを破って以来、主要4団体時代になってからは史上初となる「ヘビー級アンディスピューテッド・チャンピオン」の座を手に入れるのはフューリーか、ウシクか。井上尚弥の首位返り咲きで話題のパウンド・フォー・パウンド界隈にも大きな影響を与える「5月メガマッチ連戦」のラストを飾ることもあり、試合内容にも大きな注目が集まっている。
💰フューリーvsウシク戦の参考オッズ・予想
▼参考オッズ
米大手ブックメーカー『BetMGM』のオッズは、フューリーが「-110」、ウシクが「+100」でフューリー優勢の予想となっている。
このオッズはアメリカンオッズ式となり、「-110」は100ドルの配当を手にするのに110ドルをかける必要があり、当たった場合は110+100=210ドルの払い戻し。「+100」は100ドルを賭けて当たれば100ドルの配当となり、100+100=200ドルの払い戻しとなる。
▼予想
お互いに直近の試合で、「衰え」を見せる場面もあり、実現までに2年近くを費やしたことで、年齢面ではフューリーは35歳、ウシクは37歳となった。
ただ、昨秋ガヌーの猛打にグラついてしまったフューリーだが、スピードと技巧を軸とするウシク相手であれば、十分耐えうるだろうという予想が事前オッズの数字に現れている。
強引な大ぶりのパンチを被せつつ、相手の身体を巻き込むようにして自由を奪うブルドーザーのようなフューリーのボディコントロール戦術は、15cm近く背の低いウシクにとって脅威だ。
一方、デュボア戦で勝つには勝ったがやや精細を欠いた感は否めず、よりタフなフューリー相手に手数とスピードで競り勝てるのか疑問符はつく。ウシクとしてはつかず離れずの戦術が好ましいが、リーチ差は16cm近くあり、脚で稼ぐ以外に突破口が見えにくい。
緩慢なフューリーの攻撃リズムを突いて崩せるかだが、37歳となったウシクがフィジカルの差を覆すことができるのか。やはり下馬評通り、フューリー優位とみるべきかもしれない。
※5/15時点
👊タイソン・フューリーの戦績・バイオ
- 国籍:イギリス
- 誕生日:1988年8月12日(35歳)
- 身長: 206.2cm
- リーチ: 215.9cm
- 総試合数:35戦
- 戦績:34勝0敗1分(24KO)
👊オレクサンドル・ウシクの戦績・バイオ
- 国籍:ウクライナ
- 誕生日:1987年1月17日(37歳)
- 身長:190.5cm
- リーチ: 198.1cm
- 総試合数:21戦
- 戦績:21勝0敗(14KO)
🥊全対戦カード
- WBA/WBC/IBF/WBO 4団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ
- タイソン・フューリー(WBC王者) vs オレクサンドル・ウシク(IBF、WBA、WBO王者)
- IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
- ジョー・コルディナ(王者) vs アンソニー・カカーチェ
- IBF世界クルーザー級王座決定戦
- ジェイ・オペタイア vs マイリス・ブリエディス
- ヘビー級
- フランク・サンチェス vs アギット・カバエル
- ヘビー級
- モーゼス・イタウマ vs イリヤ・メゼンツェフ
- ライト級
- マーク・チェンバレン vs ジョシュア・ワハブ
- ライトヘビー級
- セルゲイ・コバレフ vs ロビン・シルワン・サファー
- ライトヘビー級
- ダニエル・ラパン vs オクタヴィオ・プディブトル
- クルーザー級
- デビッド・ニカ vs マイケル・セイツ
- フェザー級
- アイザック・ロウ vs ハシブラ・アフマディ
※文中の金額は全て税込。
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 石山修二(スポーティングニュース日本版)