転向第3戦間近!|新たなステージに挑む『神童』那須川天心とは?|キック/MMA/ボクシング戦績・経歴

2024-01-21
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時事通信

世界のボクシングファンにとっての「テンシン・ナスカワ」は、数年前にフロイド・メイウェザーにエキシビションでKOされた日本のヤングボーイとして記憶されているかもしれないが、この20代半ばの若者にはもっと記憶に残る実績がある。

本記事では、ボクシング転向第3戦を1月23日に控える那須川天心の格闘人生と、若くして成し遂げた実績を、米国編集部格闘技部門エキスパートのダニエル・ヤノフスキーが紹介する。

【告知】1.23当日、天心第3戦、寺地&阿久井のダブル世界戦をライブ速報予定!

『キックの神童』がボクシングに挑戦

複数の格闘技をマスターできる人間は稀だ。片方は得意でも、もう片方ではあまり得意ではないことが多い。例えば男女通して史上初のボクシング2階級アンディスピューテッド王者クラレッサ・シールズは、鳴り物入りで総合格闘技に挑戦したものの、2戦目で敗れ、MMAキャリアに疑問符がついた。

だが、決意に満ちた那須川天心は、その壁を破ろうとしている。

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25歳の那須川は、かつてエキシビションマッチでフロイド・メイウェザーに敗れ、リングで号泣した若者として知られているかもしれないが、実際にはそれ以上の存在だ。稀有なキックボクサーの経歴を持つ『神童』は今、2023年4月のデビュー戦、9月18日の第2戦を経て、第3戦となるルイス・ロブレス戦(『Prime Video Presents Live Boxing 6』エディオンアリーナ大阪)に臨もうとしている。

この試合は、日本ではAmazonプライムビデオ、米国ではESPN+で配信され、寺地拳四朗 vs. カルロス・カニサレスのWBC/WBA世界ライトフライ級統一王座戦のアンダーカードとして行われる。

プロボクシング3戦目となる那須川は、デビュー戦以来、たゆまぬ練習で培った進化を証明する準備ができている。

スポーティングニュースは、那須川のキャリアを、最初期の空手からキックボクシングでの立身出世まで紐解いていく。

那須川天心とは何者か?

日本で生まれた那須川は5歳頃からトレーニングを始め、小学生時代から空手の大会で優勝していた。父親がしつけや規律を守らせるために極真空手を学ばせたのに対し、那須川本人はその頃から格闘技が自分の天職だと信じていた。

「小学校6年生まで空手をやっていた。全国レベルの大会で優勝していたが、同時に(この時期プロの世界では)K-1やPRIDEのような大きなショーもあった」と、彼は2018年に米スポーツメディア『Bleacher Report』に語った。

「その大舞台に出場したかった。僕にインスピレーションを与えてくれた特定の個人はいなかった。舞台(格闘技が持つ大きなスケール感)に惹かれたんだ」

2014年、那須川は90勝以上のアマチュアキャリアを経てキックボクサーとしてプロ転向した。BLADE、RISE、RIZINなどで活躍し、RISEバンタム級(55kg)&同世界フェザー級(57kg)、オリエンタルルールISKA世界バンタム級およびフリースタイルISKA世界フェザー級の王座を戴冠。さらにBLADEジャパンカップ(55kg)、RIZIN KICKフライ級(57kg)トーナメント優勝の経験を持つ。

その過程でロッタン・ジットムアンノン、笠原友希、鈴木真彦らキック、ムエタイ、シュートボクシングの王者経験者だけでなく、堀口恭司(キックルールで対戦)というMMAの強豪を倒してきた。

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キックボクシング以外では、那須川はMMAとボクシングで戦ってきた。2016年から2017年にかけて、彼はMMAで4勝0敗だった(すべてRIZIN)。そして繰り返すようにボクシングファンなら、2018年大晦日にエキシビションマッチでメイウェザーと対戦し、1ラウンドTKO負けを喫するまで3度ダウンされたことを覚えているだろう。

那須川はその後、元ボクシング3階級制覇王者の亀田興毅やMMAスターの所英男、五味隆典らレジェンドファイターとのエキシビションマッチに出場して名誉挽回を図った。

その仕上げに、2022年6月の『THE MATCH 2022』では、長年対決が熱望されてきた、K-1の看板ファイターである武尊と初対戦。判定勝ちを収めると、キックボクシングに区切りをつけ、晴れて新たな挑戦となるボクシングキャリアを開始した。

2023年にプロボクシングライセンスを取得した那須川は、同4月に日本バンタム級のトップランカーである与那覇勇気を判定で下した。その試合に向けて那須川は決意表明していた。2月の記者会見の場でこう答えている。

「(ボクシング転向で)格闘技への思いが強くなっている。格闘技は、いい意味でも悪い意味でも、とても有名になってきている。人々は格闘技にどんなイメージを持っているのか? (それでも)格闘技は素晴らしいものだし、僕はその(良いイメージの)象徴でありたい」

ボクシング転向で生じた神童の課題

デビュー戦では、キック時代からのスピードと当て感の良さを発揮したが、与那覇を6ラウンドで倒し切ることはできなかった。キックボクサーからボクサーへの転換が未完であることは、那須川本人も認めていた。デビュー戦前には、キックルールよりもはるかに多いラウンド数に対してスタミナ不足を自認する発言もあった。

那須川はキックボクシング時代はカウンターを取るスタイルだったことから、重心は後ろ足に(体重を)乗せる傾向が強く、この癖が修正できていなかったことから後半に入ってダウンやKOを奪えなかったと見る向きがあった。試合中のステップイン・ステップアウトもボクシングのものというより、キック的な跳ねるような動きだった。

今度こそ「相手を倒し切る」ため、那須川は第2戦に向けて2023年8月中旬から米ラスベガスでのトレーニングキャンプを2週間敢行し、8ラウンドのスパーリングをしっかりこなした。KOへの意識も高まった。

その最中に対戦相手だったフアン・フローレが新型コロナウイルスに感染。メキシコ・バンタム級王者のルイス・グスマンに変更された。グスマンは9月1日に試合予定だったが、相手理由で中止となり、宙に浮いていたところで那須川戦が決まった。だが、つねに強い相手とやりたいと口にしてきた那須川にとっては、王者レベルを相手に5か月間での自身の進化を確認する歓迎すべき状況となった。

1ラウンド目からダウンを奪ったことでKOの期待値は高まった。しかし、スタミナ強化を証明するようにグスマンを終始圧倒しながらも、最後までKOはできなかった。大差の判定勝ちで、ポテンシャルの高さは示したものの、KO宣言は不発に終わった。

第3戦のテーマは「KOする詐欺卒業」

転向2戦で判定勝ちが続いたとして、その内容から言えばボクシングへのトランジションは順調と見て良い。しかし、その『神童』というキャラクターとキック時代の輝かしいキャリア故に、KO勝利がない現状に批判的な意見があがるのもまた事実だ。

そんななか、2024年1月23日の第3戦の相手がルイス・ロブレス(メキシコ)に決まった。ロブレスは那須川と同い歳ながら、2016年プロデビューの15勝2敗1分けの戦績。まだベルト獲得はないが、伝説的トレーナーとして知られる『ナチョ』イグナシオ・ベリスタインから直接指導を受ける期待の選手だ。今回の来日には『ナチョ』も帯同している。

タイトル歴が全くない点や試合映像などから、那須川有利の前評判だが、やはりただ勝つだけでは物足りないというのが那須川本人の意気込みだ。「KOする詐欺をやめたい」と明言し、3度目の正直を果たしたいとした。今はKO勝ちを狙う必要はないとする識者の声もあるが、格闘技界を盛り上げたい那須川は、自ら高いハードルを課してロブレス戦に挑む。

那須川天心のプロフィール・戦績・獲得タイトル

  • 生年月日:1998年8月18日(25歳)
  • 出身地:千葉県松戸市
  • ニックネーム:神童
  • 身長:165 cm
  • リーチ:165 cm
  • スタイル:サウスポー
  • 階級(キック):バンタム級・フェザー級
    • キックボクシング戦績:42勝(28KO)0敗
  • 階級(総合格闘技):フライ級
    • 総合格闘技戦績:4勝(2KO/1サブミッション)0敗
  • 階級(ボクシング):スーパーバンタム級
    • ボクシング戦績:2勝0敗
  • 獲得タイトル(獲得順):
    • BLADE FC JAPAN CUP -55kgトーナメント2015優勝
    • ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座
    • RIZIN KICK ワンナイトトーナメント2017優勝
    • 第6代RISEバンタム級王座
    • 初代RISE世界フェザー級王座
    • ISKAフリースタイルルール世界フェザー級王座
    • RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント優勝

※本記事は一部国際版記事を翻訳し、日本向け情報を追記した編集記事となる。