7月25日(火)、井上尚弥を迎え撃つWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン。
井上の実力に拮抗するであろう類まれなテクニックを持つ技巧派ファイターの経歴、戦績、獲得タイトルについて、本誌格闘技エキスパートのダニエル・ヤノフスキーが解説する。
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技巧派王者スティーブン・フルトンがモンスターを迎え撃つ
スティーブン・フルトンはリングで対戦したほとんどの相手に明確な差をつけて勝利してきた。完璧な技巧派ボクサーであり、WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者の真価はそこにある。
フルトンは今まで判定ポイントで対戦相手を下回ったことが一度もない。その技術力は称賛に値する。勝利を積み重ねていくうちに念願であるパウンド・フォー・パウンドのランク入りも現実味を帯びてきた。7月25日の試合で世界最強のボクサーのひとりである井上尚弥に勝利してタイトル防衛に成功すれば、その目標は実現されるはずだ。
試合は東京の有明アリーナで開催され、米国内ではスポーツ専門局『ESPN+』でストリーミング中継される(訳者注:日本国内ではNTTドコモが提供している動画配信サービス「Lemino(レミノ)」で独占生配信される)。
ここ数年の間、フルトンは強豪たちを相手に勝利してきた。だが、今回の相手は「ザ・モンスター」である。前評判ではフルトンはかなり不利だと見られている(ブックメーカー『Caesars』でのオッズは+260)。フルトン自身、そうした低評価に「下に見られている」と憤りをあらわにしたが、その大方の予想を覆すことができれば、その評価は逆転するどころか、うなぎ登りに高まり、世界屈指のボクサーであるとの地位を獲得するはずだ。
スポーティングニュースではフルトンのこれまでのキャリアを振り返ってみた。
フルトンが獲得したプロ・アマタイトル
フルトンは2013年のナショナル・ゴールデングローブ(アマチュア大会)金メダリストであり、現在はWBC、 WBO世界スーパーバンタム級王者である。
スーパーバンタム級のベルトは2021年以来保持している。
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2団体統一王者『クールボーイ』フルトンの歩み
ペンシルバニア州フィラデルフィアで生まれたスティーブン・フルトンは、2023年7月18日時点で21勝0敗、8KO勝利のプロ戦績を記録している。
2014年にプロに転向し、『Cool Boy Steph(クールボーイ・ステフ)』のニックネームを持つ。デビュー以来、主に地元フィラデルフィアで戦ってきた。2019年にパウルス・アムブンダから3-0判定で勝利したことで、トップ戦線に姿を現した。2021年1月にアンジェロ・レオを破り、WBO世界スーパーバンタム級王座を獲得した。
2021年11月にはブランドン・フィゲロアを2-0判定で下し、WBC同級タイトルも獲得した。2022年6月にはダニエル・ローマンに3-0判定で勝利し、2団体のベルトを防衛した。その試合の後、当時IBFとWBAの同級王者であったムロジョン・アフマダリエフへ対戦を呼び掛けた。
フルトンはWBC世界フェザー級暫定タイトルをかけたフィゲロアとの再戦も交渉した。しかし、フィゲロアがマーク・マグサヨを相手に選んだ(フィゲロアの3-0判定勝利)ことで、井上との対戦へと舵を切った(フルトンが先に井上戦を選んだという報道もある)。井上戦は当初5月の予定だったが、井上がトレーニングキャンプ中に拳を負傷したため延期となった。
将来的には俳優転向を目指しており、井上戦勝利でそのチャンスを実現させたいとしている。
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スティーブン・フルトンの経歴・戦績・獲得タイトルデータ
- 本名:スティーブン・フルトン・ジュニア
- ニックネーム:クールボーイ・ステフ(Cool Boy Steph)
- 出身地:米国ペンシルバニア州フィラデルフィア
- 生年月日:1994年7月17日(28歳)
- 身長:169cm
- リーチ:179cm
- スタイル:オーソドックス(サウスポーにも切り替えられるスイッチヒッター)
- 階級:スーパーバンタム級
- プロ戦績:21戦21勝(8KO)0敗
- プロタイトル歴:
- WBO世界スーパーバンタム級王座(防衛2)
- WBA世界スーパーバンタム級王座(防衛1)
原文:Stephen Fulton pro record, titles ahead of Naoya Inoue 2023 boxing fight
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮