3月6日、井上尚弥の次戦の相手が、2018年以来、日本での無期限試合資格停止処分を受けていた『悪童』ルイス・ネリに正式に決まった。曰く付きのネリと井上の試合は、なぜ決まったのか。そして背景にあるのは?
『モンスター vs. 悪童』にまつわる出来事・報道をタイムラインを追う。【随時更新】
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■2017-18年:ネリ日本追放の原因となった山中との連戦
この時期、まだ井上とネリの間に直接的な関係はなかったが、2017-18年に起きた『事件』は、同カードの根幹に関わる要素のため、ここに記していく。
2017年8月15日、山中慎介のWBC世界バンタム級&The Ring誌認定同級王座に挑戦したネリは、4R TKOで勝利するも、試合後日、禁止薬物ジルパテロールの陽性反応が発覚。The Ring誌は即座にタイトルを剥奪し、山中に王座を戻すも、WBCは「意図せずに食べた牛肉に含まれていた」とするネリの主張を容認。ネリはWBCタイトルを維持し、山中との再戦が翌年3月1日にセットされた。
再戦前日の2018年2月28日、再びネリは問題を起こす。バンタム級規定体重を3ポンド(約1.36キロ)超過したことで、WBCも試合前にネリの王座を剥奪、山中勝利の場合は新王者になる条件のもと行われた。しかし、試合はネリが2R TKO勝ち。山中はこの試合を最後に引退した。
JBC(日本ボクシングコミッション)は2度に渡るネリの問題行為に対し、日本国内における無期限資格停止処分を下し、事実上の永久追放とした。こうしてネリは日本ボクシング界にとって言わば『不倶戴天の敵』となった。
■2019年:悪童と井上尚弥の挑発合戦が発生
懲りないネリは山中戦後も体重超過を繰り返した。
現地時間2019年7月19日、ファン・カルロス・パヤノを迎えたWBCシルバー・バンタム級王座防衛戦の前日計量で規定体重を0.5ポンド超過。再計量でパスしたため、翌日条件変更なしで試合が行われ、ネリが9R KO勝ちを収めた。
この時期、ネリは井上の実弟で当時WBC世界バンタム級暫定王者だった井上拓真との対戦が取り沙汰されていた。しかし、井上拓真は兄・尚弥 vs. ノニト・ドネアの前座でWBC正規王者ノルディーヌ・ウバーリとの統一戦に臨んだ。
2019年11月7日、拓真がウバーリに判定負けとなり、ネリ戦は自動消滅。兄・尚弥は判定に持ち込まれながらも3-0でドネアに勝利するも、眼窩底骨折を負うなどキャリア最大の苦戦を強いられた。その試合後、ネリが「俺にはあのパンチは効かない」などと井上を挑発する発言を並べたことが『ESPN Deportes』で報じられた。
現地時間2019年11月22日、WBC世界バンタム級挑戦者決定戦の前日計量で、ネリは1ポンド超過した挙げ句、再計量を拒否して違約金を払っての試合成立を画策。しかし、相手のエマヌエル・ロドリゲスが受け入れず、試合11時間前に決裂した。
体重超過を平然と重ねる『悪童』ネリに対し、井上は当時Twitter(現X)上で「ネリはボクシング界から追放されるべき」と主張した。「こんな奴にゴタゴタ言われたくない」という文言は、ドネア戦後の挑発発言への意趣返しだった。
ネリはバンタム級の体を作ることを諦めたのか、2020年からスーパーバンタム級に転向。井上との接点が一旦薄れた。
■2023年:再び同階級となり、井上の次戦候補にネリが浮上
2022年末にポール・バトラーを下してバンタム級4団体統一に成功した井上は、2023年1月13日に、スーパーバンタム級転向を宣言。転向初戦から当時のWBC/WBO王者スティーブン・フルトン、同じく当時のWBA/IBF王者ムロジョン・アフマダリエフへの挑戦を目指していた。
現地時間2023年2月18日、アザト・ホバニシャンを下してWBC指名挑戦者となったネリは、再び同階級のライバルとなった井上を挑発。『Boxing News 24』などの専門メディアによると、「井上はモンスターじゃない。小さいモンスターだ。俺こそがスーパーバンタム級で真のモンスターだ」と豪語していた。
井上の負傷により約2か月の延期を挟んだ2023年7月25日、井上がフルトンを撃破し、WBC/WBO王者に。試合直後、タパレスもリングに上がり4団体統一戦を約束した通り、井上 vs. タパレスは12月23日に決まった。
当時、タパレス大幅不利という下馬評も手伝い、戦前から井上の次戦相手についての議論が『Boxing Scene』など専門メディアにおいても盛んに論じられていた。
ネリがWBC、サム・グッドマンがIBFの指名挑戦権を持ち、その後、アフマダリエフもWBA指名挑戦権を獲得し、この3者が有力候補となった。WBO指名挑戦者には『フィリピンの悪童』ジョンリル・カシメロを推す声もあったが、同10月12日に元IBF世界スーパーバンタム級王者の小國以載と4回負傷引き分けに終わり、次期挑戦者争いから脱落した。
■2023年12月15日:井上 vs. ネリ ついに現実味
ネリが自身のXに「BIG NEWS」の言葉と共に日本国旗の絵文字を投稿。井上 vs. ネリの具体的な動きと見られるものが公になったのがこの日だった。
『Boxing Scene』のインタビューに応じたネリのプロモーター、フェルナンド・ベルトラン氏が「井上が(タパレス戦で)良い結果を収めれば、(ネリは)5月に井上と対戦することになるだろう。私はこのファイト(の実現)に確固たる自信を持っている。素晴らしい試合になるよ」と発言。ネリの「BIG NEWS」宣言を裏付けた。
■2023年12月23日:井上自身がファンに要請
井上はタパレスを下し、自身のWBC/WBO王座とWBAスーパー/IBF王座を統一。勝利者インタビューで井上は「来年5月に噂されている試合が実現するかはこれからの交渉次第。ファンが喜ぶ試合、観たい試合を実現していきたい。どんどん声をあげてほしい」と自ら話した。
井上がファンに「声をあげて欲しい」と訴えたのは、日本での資格停止処分を受けるネリとの試合実現への後押しを得るためと推測された。
■2024年1月9日:ついに海外で決定報道
現地時間2024年1月8日(日本時間9日)、格闘技界の著名インサイダー/アナリスト、マイク・コッピンガー氏が、井上陣営とネリ陣営が5月・東京決戦に合意したとX(旧ツイッター)に投稿し、ESPNも同氏によるニュースとして報じた。井上 vs. ネリの決定報道はこれが最初となった。
■2024年1月11日:井上が決定報道に同調、ネリも匂わせ
ネリ戦決定報道の2日後、井上は自身のXに「やってやろうじゃねえか‼︎ let's do it‼︎」と投稿。ネリが「Nos vemos pronto」(近いうちに会おうぜ)と引用ポストを返せば、それを井上もリポストしたことで同カードが確定的になった。
■2024年1月25日:5.6 東京ドームの海外報道
現地時間1月24日(日本時間25日)、コッピンガー氏が井上 vs. ネリの続報として「5月6日、東京ドームで開催」と報じたが、井上の所属ジムの大橋秀行会長はあくまで「調整中」とした。
東京ドームでのプロボクシング興行は、マイク・タイソンのメインイベントマッチによる2大会のみで、1990年2月のタイソン vs. ジェームズ・ダグラスのWBC・WBA・IBF世界ヘビー級王座戦以来、34年ぶり3度目。日本人ボクサーによるメインイベントは史上初となる。
■2024年1月29日:井上がドーム・メイン戦への夢語る
井上はWOWOW番組収録に参加後、メディア取材に応じた。日刊スポーツなどによると、ネリという対戦相手に、日本人ボクサーとして東京ドームでメインを張ることは大きなモチベーションになるとし、「あとは(55000人収容のドームを)満員にできるか」だと答えた。
■2024年2月1日:山中が井上を「仇討ち代理人」に指名
WOWOW主催イベント「エキサイトマッチファン感謝祭in福岡」で、井上が山中慎介氏とマスボクシングで拳を合わせたと国内メディア各社が伝えた。山中氏はファンからの質問に答える形で、ネリが最近「山中戦はイージーだった」と発言したことについて怒りを覚えたと話し、井上に仇(かたき)を取って欲しいかについて「そうですね」と回答。『仇討ち代理人』のお墨付きを貰った井上も「ここで自分が負けたらネリに日本人がなめられる。(試合が決まれば)必ず勝ちたい」と宣言した。
また、ボクシング専門ポッドキャスト番組『The 3 Knockdown Rule』にゲスト出演した(井上の日本以外のプロモーションを担当する)トップランク社のボブ・アラム会長が、井上 vs. ネリの5月6日、東京ドーム開催を認めた。アラム氏の証言によりさらに確定ムードが強まった。
なお、アラム氏はネリ戦後の井上の米国再進出やサウジアラビア初進出プランにも言及している。
■2024年2月5日:ネリの資格停止解除は間近?
新たな動きはない中、国内メディアが比較的慎重な報道を行う一方、『Ringnews 24』など海外メディアから、ネリの日本での資格停止措置が撤回されるという憶測報道が見られた。
現時点では、JBCの判断と、井上陣営(大橋ジム)からの発表を待つだけの状態となった。
■2024年2月15日:北米放送担当のESPNが井上vsネリを公式掲載
米スポーツ専門放送挙局「ESPN」のボクシンク・スケジュール表の「Key Dates(主要な日程)」に、「5月6日 東京(ESPN/ESPN+)井上尚弥vsルイス・ネリ、12ラウンド、井上のジュニアフェザー級タイトル統一戦」と現地2月13日時点で掲載、ESPNがこの試合の中継を行う予定が公開された。
■2024年2月19日:大橋会長が3月中の正式発表を予告
都内で行われたボクシング「2023年度年間最優秀選手表彰式」において、大橋ジムの大橋秀行会長は「いい発表ができると思う。来月中には整います」とコメント。また、この日最優秀選手(MVP)、KO賞、最高試合(フルトン戦)の3冠を受賞した井上自身も「噂されている試合に向けて準備している」と語り、いよいよ発表間近を感じさせた。
■2024年2月20日:JBCがネリの資格回復手続きを開始
東京スポーツの取材に応じたJBCの安河内剛事務局長が、JBCとして動いているネリの資格停止処分解除への準備と、最大の懸念となるドーピング・体重超過違反防止の方策について言及。
JBC側はネリ陣営からの処分解除申請を待つ状況で、薬物検査と体重超過対策については認定団体と協調した上で「特別なチェックになる」とし、超厳戒体制を示唆。違反時のペナルティーについては「それを防ぐため」に準備していることを強調した。
実現までトラブル回避のために関係各所と入念なコミュニケーションをとるとし、「2度と違反を起こさないように管理をしないといけない」と話した。
■2024年2月25日:父・真吾氏、拓真次戦が5.6ドームとポロリ
弟・井上拓真の防衛戦の翌日会見にて、大橋秀行会長は拓真の次の防衛戦を兄・井上尚弥と一緒にやらせたいと発言。父・真吾トレーナーも調整スケジュールを問われると、「昨日、計算したら10日後で(次戦まで)ちょうど2か月になる」と、噂される5月6日・東京ドームがその日になる発言をした後で苦笑いを浮かべた。
■2024年2月26日:ネリの日本での資格回復をJBCが発表
日本ボクシングコミッション(JBC)は、日本での活動停止処分を科されていたルイス・ネリのライセンス資格回復を認めたと報じられた。これにより、5月6日(月・振替休日)東京ドームでの開催が確定的とされてきた井上尚弥とのタイトルマッチ実現に向け、最大の障壁がついにクリアとなった。
これに合わせるように、ネリ本人も自身のXに「公式発表」の言葉と、「soon」(もうすぐ)の絵文字を5つ並べた投稿を行った。
■2024年2月28日:ネリが決定会見のため訪日か
ネリが自身のXに、飛行機の絵文字と日本国旗の絵文字を並べて投稿し、訪日を示唆。大橋会長は3月内の正式決定を明言していたが、発表会見のための来日となるのか。
■2024年3月4日:正式発表へ向けて秒読みか
ネリが自身のXを更新。砂時計の絵文字を並べて投稿。先日の来日示唆の投稿と合わせ、正式発表の時が近づいていることをアピールしているのか。
■2024年3月5日:Amazon Prime LIVE BOXING第8弾の会見告知に井上が反応
Amazon PrimeがXで『「LIVE BOXING第8弾記者会見」を3月6日(水)11:00〜から行う』と投稿したのに対して、井上尚弥が「なぬ!?」と、明日の会見と自身の関連性を匂わす引用投稿を行った。
詳細は不明だが、近年、井上の試合のライブ中継はNTTドコモの配信サービス『Lemino』独占となっていたが、『Amazonプライムビデオ』は、2022年6月7日の「井上 vs. ドネア第2戦」を独占ライブ配信した実績がある。「井上 vs. ネリ戦」の会見となるのか注目される。
■2024年3月6日:ついに井上 vs. ネリ正式発表、悪童が反省
前日に井上が反応した通り、3月6日11時からのAmazonによる「LIVE BOXING第8弾記者会見」で井上尚弥 vs. ルイス・ネリのスーパーバンタム級4団体統一王座戦が正式に発表。WBA世界バンタム級タイトルマッチ「井上拓真 vs. 石田匠」、WBO世界バンタム級タイトルマッチ「ジェイソン・モロニー vs. 武居由樹」、WBA世界フライ級タイトルマッチ「ユーリ阿久井政悟 vs. 桑原拓」を併せた4大世界戦として、5月6日(月・祝)に東京ドームで行われる。中継はプライムビデオ独占ライブ配信となった。
井上は試合の実現に奔走した各所関係者に感謝した上で「東京ドームで行われるタイソン以来の試合ということで、すごくモチベーションは高い。相手もネリだけに気を引き締めていかないといけない。白熱する試合になると思う。4大タイトル戦は大橋ジム生、全員で勝利したい」と話した。
一方のネリは終始神妙な表情で「再び日本の地を踏むことができて嬉しく思う。日本の皆様には申し訳ないです。(過去)二度、皆さんを裏切ってしまいましたが、今回は節制して調整しています。試合の機会を与えてくれた井上尚弥選手、大橋ジムには感謝いたします」と話し、反省と感謝の意を示した。
独占配信することになったAmazonジャパンのカントリーマネージャー、児玉隆志氏は「今年のゴールデンウィーク、最高の盛り上がりをお届けしたい」と意気込んだ。
質疑応答では、お互いの印象に関して、井上はネリについて「パワーがあって打たれ強い」と評するとネリも「(井上は)輝かしいキャリアがあって、スピードのあるパワフルでグッドな選手。才能豊かだが、俺は井上を恐れていない。尊敬はしているけどね」と応じた。
なぜネリ戦が決まったのかついて井上は多くを語らず、4団体王者としてWBC指名挑戦者のネリを選んだとした。「4団体のチャンピオンとして相応しい試合がしたい。ネリを倒せば(さらに)ステップアップできると思う」とした。
タイソン以来のドームでのボクシングイベントということには、「まだ想像できないがとてつもないこと」「内容的にはネリに何もさせずに勝つことを目指して調整したい」と井上が話せば、ネリは「最良のパフォーマンスを発揮して、メキシコ人ファイターとして勝ちたい」。
山中慎介戦における過去の過ちに憤る日本のファンに対しては謝罪の言葉を口にしたネリだが、「(試合になれば)観客は『消えます』。リングに上がれば私と対戦相手だけだから」と話し、試合に集中できると主張。井上も「過去の因縁があるのはわかっているが、今回は自分とネリの試合。過去のことは持ち込まない」とし、仇討ちは別とした。
違反防止のための特殊な契約があるのかについては、大橋ジムの大橋秀行会長が「この場では詳しく言えないが厳しくやっている」とし、ネリのプロモーターであるショーン・ギボンズ氏も同意し、ネリが節制して調整していることを強調した。
質疑応答後のフォトセッションでは、井上は4本のベルトを手に、サングラスをつけたまま参加。横に並んだ両者のサイズ感に大きな違いはなかった。フェイスオフは行われず、最後に両者は握手してわかれた。
■2024年3月6日:WBCが厳格体重監視、抜き打ち薬物検査も
正式発表会見を受けて、WBCは試合前の複数回に渡る厳重な体重チェックを実施していることをXで表明した。試合30日前、14日前、7日前の調印時に検査を行い、急激な体重減少も抑制・監視するという。
大橋秀行会長は、会見後に体重超過があった場合は試合は行わないことを明言。安河内剛JBC事務局長は体重超過に対しての詳細なルールを設けたことを明かしている。
また会見中、『借りてきた猫』のようにおとなしかったネリだが、各国内メディアの報道でも伝えられたように、会見終了後に会場にいた山中慎介氏に直接謝罪。自身の過ちによって引退させてしまったことを詫びた。
大会チケット販売は3月9日正午から第1次抽選受付が開始される。最高額はSRS席の22万円。最安値は2階指定席の1万1000円となる。
■2024年3月7日:「日本側の厳しい条件もネリには問題なし」とメキシコ現地で報道
メキシコのボクシング専門ウェブメディア『IZQUIERDAZO』のDavid Torres記者が3月5日付けで、WBC会長マウリシオ・スレイマン氏とネリ陣営のギジェルモ・ブリート氏の取材記事を配信した。
スレイマン氏は「前例(山中戦での体重超過)のせいもあって、(体重の)コントロールが増えた」と話し、ネリがすでに2月29日に一度、計量を済ませていること、今後は45日前、30日前、14日前、7日前、そして前日の公式計量をそれぞれ行うほか、アンチドーピングの抜き打ち検査を受けることを明かしている。
しかし、「ネリがこの試合に大いなる熱意を持って取り組んでいることを私たちは知っている」と、ブリート氏はネリが自らこうした厳しい条件を受け入れていることを強調。「彼はこの試合に非常に意欲的で、日本側の要求すべてに間違いなく従うだろう」とネリへの信頼感を示している。
■2024年3月21日:プロモーターがネリのドーピング検査クリアを公表
スポーツプロモーターのViva Promotionsが、自身のXならびにFacebookで、3月5日に行われたVADA(Voluntary Anti-Doping Association)によるドーピング検査でネリが陰性だったことを示す手紙を公表、ネリもこの投稿をリポストしている。
これで5月6日の井上尚弥戦に向けて一つハードルがクリアされた形となったが、手紙の中には引き続きVADAの検査は行われていく旨が記されている。
■2024年4月9日:ネリがインタビューで「井上は課題評価されている、普通の選手にすぎない」と発言
ルイス・ネリがボクシング専門ニュースサイト「BOXING SCENE」のインタビュー記事をリポスト。その中で、井上を称して「彼の試合を見たが、過大評価されていると思う。彼はごく普通のファイター、少なくとも自分にはそう見えるね」と発言してみせた。
井上は他の選手と変わらない、体の小さい、ごく普通の選手。スピードやインテリジェンス、パワーには優れているが、パンチを繰り出すときに体を開く癖があるので、そこを攻め込むとネリ。前の試合で苦戦したことを問われると「あの試合で自信過剰になってはいけないことを学んだ。25~30日しか練習しなかったからね、今回は3ヶ月近くみっちり練習している」と状態の良さを伺わせる。
山中慎介戦でのトラブルについても、「JBCの処分はまるで気にしてなかった。それが井上戦の売りになると思って処分を取り消したんだろう。井上がどう思おうが関係ない。過去は過去、歴史は変えられないよ」とまるで人ごとのような発言。さらには「もしすべてが予定通りに運べば、 ムロジョン・アフマダリエフ試合をしてそれが最後、引退するよ。今ではもう自分にとってボクシングは退屈なんだ」とビッグバウトを前に引退表明までしてしまうマイペースぶりを発揮している。
記者会見ではしおらしく反省の弁を述べていたネリだったが、井上戦が近づくにつれ、持ち前の『悪童』ぶりを取り戻したようだ。
■2024年4月10日:井上が自身の31歳の誕生日に公開練習、順調な仕上がりをアピール
井上尚弥が自身31歳の誕生日となるこの日、練習を公開。順調な仕上がりをアピールし、どのパンチでもネリを倒す準備はできているとKO宣言してみせた。また、パンテラ(黒豹)の異名を取るネリに対抗したという白いトラをモチーフにしたTシャツも披露し、今年はこのネリ戦の後、夏、12月と3試合を行う予定であることも打ち上げた。
■2024年4月10日:井上vsネリ戦のリザーバーとしてドヘニー招聘へ
井上の公開練習後の会見で、大橋秀行会長が井上vsネリ戦に不測の事態は生じた場合のリザーバーとして元IBF世界スーパーバンタム級王者のTJドヘニーを招聘したことを明かした。当日は、ブリル・バヨゴス(フィリピン)との8回戦が組まれるが、万が一メインイベントで欠員が出た場合にはドヘニーが出場することになると言う。
大橋会長は「井上が体重オーバーして、ドヘニーとネリがやることはないでしょう」と言い、ネリへのプレッシャーかと問われると「そうですね」と語ってみせた。
■2024年4月11日:井上vsネリ戦の勝者にWBCダイヤモンドベルトが贈呈されることが決定
WBC(世界ボクシング評議会)はこの日、井上尚弥vsルイス・ネリ戦の勝者にWBCダイヤモンドベルトを贈呈することを発表した。
WBC会長であるマウリシオ・スライマン氏が井上を表敬訪問した際、井上からリクエストを受け、今回のネリ戦の勝者に贈呈することとなった。
ダイアモンドベルトは2人のエリートボクサーが行う歴史的な試合の勝者に授与される名誉ベルトとして2009年に創設。マニー・パッキャオ(フィリピン)が最初に受賞して以来、フロイド・メイウェザー(アメリカ)、バーナード・ホプキンス(アメリカ)、レオ・サンタ・クルス(メキシコ)、アナ・マリア・トーレス(メキシコ)といった数々の歴史的名ファイターたちが受賞している。
■2024年4月20日:ルイス・ネリ、14日前の計量を順調にクリア
ネリが14日前の体重チェックをクリアした様子をNY在住のスポーツライター、杉浦大介氏がXで投稿。ネリ自身もこの投稿を引用RPしている。
ネリのウェイトはこの段階で規定の128ポンドを下回る127.6ポンド、次は4月27日に126ポンド以下をクリアする必要がある。
■2024年4月21日:ルイス・ネリ来日。羽田空港で取材に応じ、KO宣言
ネリは日本時間の21日深夜、Xで日本への出発を投稿。同日に羽田空港へ到着した。
取材に応じたネリは「井上を尊敬しているが、恐れてはいない。KOする」と力強くKO宣言して見せた。
このネリの発言を受けて、井上も即座にXで反応の投稿。試合への期待を口にしている。
■2024年4月23日:ネリ、都内で練習を公開。「井上はマイケル・ジョーダンじゃない」と引き続き挑発
ルイス・ネリが都内の帝拳ジムで練習を公開。減量も含め、順調な調整ぶりをアピールするととも、「井上はいい選手だが、マイケル・ジョーダンではない」と引き続き挑発。また、「弱点を見つけた」とも語り、タイトル奪取への自信をのぞかせ、同日練習の様子を試合日となる5月6日の日付とともに投稿した。
一方、その練習を見学した井上尚弥のトレーナー井上真吾氏は、「誰でも言うじゃないですか。何も気にならないです」とネリの挑発を受け流した。
■2024年4月28日:ネリ、7日前計量をクリア
過去のウェイトオーバーの実績から、今回WBCから特別に設けられた7日前計量をルイス・ネリがパス。その模様をプロモーターのショーン・ギボンスがX上にアップした。リミットの126ポンド(57.15kg)に対し、この時点のウェイトは124.7ポンド(56.56kg)、順調に絞れている様子を誇示した。
■2024年4月29日:井上も7日前計量を順調にクリア
大橋ジムの大橋秀行会長が自身のInstagramに「井上尚弥 1週間前計量 57キロです!」と投稿。ネリ同様、こちらもリミットの126ポンド(57.15kg)をクリアした。
■2024年5月4日:記者会見で井上、ネリともにKO宣言
記者会見が横浜市内で開催され、井上尚弥、ルイス・ネリ両者からKOで勝つというノックアウト宣言が飛び出した。
「とてつもない試合ができると確信している。必ずKOして勝つ姿を見てほしい」と井上が自信をうかがわせれば、ネリも「死を覚悟して挑む。KOで勝つ」と一歩も譲らず。またネリは前日計量を前にすでにリミット内に落としたともコメントし、この試合にかける意気込みをみせた。
会見後、井上が自身のXで「さぁいよいよだ」と書き込めば、ネリはそれを引用RPするかたちで「Mi Tiempo」(私の時間だ)と反応。2日後に向けた試合へさらに熱が高まってきた。
■2024年5月5日:前日計量はともに一発パス
都内のホテルで行われた前日計量において、ネリはリミットの55.3kgに対して、-500gの「54.8kg」で一発パス。対する井上も-100gの「55.2kg」でパスしており、体重に関しては最後まで問題なく試合を迎えることになった。
ネリは無言で計量会場をあとにしたが、井上は「試合は成立するだろうと思っていた。さすがにビッグイベント。ネリも過去最高のファイトマネーだろうし、心配はなかった」と話した。また、自身のXで計量パスを報告し、「明日東京ドームで会いましょう」とコメントした。
■2024年5月5日:計量後にネリが井上と同じグローブに変更
前日計量後のルール会議でのグローブチェックの際、井上陣営が使用する日本製(ウィニング社製)のグローブを確認したネリが、自身が契約する米国のグラント社製よりも「小さい造り」(=パンチ力が減衰しにくい)であることに着目。急遽、ネリもウィニング社製グローブに変更することになった。
本記事は、「井上 vs. ネリ」の続報があり次第、随時更新していく。
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