寺地拳四朗が突き進むライトフライ級史上初の4団体統一王者への道

2023-09-14
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時事/JIJI Press

寺地拳四朗は、9月18日、有明アリーナでWBC・WBA世界ライトフライ級王者としてヘッキー・ブドラーの挑戦を受ける。日本人では井上尚弥に続くアンディスピューテッド王者を目指す寺地だが、残すは王座はあと2つとなっている。

寺地が突き進む同級史上初となる4団体統一への道について、名門誌『The Ring』(リングマガジン)出身で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが解説する。

井上尚弥に続き、4団体統一王者を目指す寺地

寺地拳四朗は『アメージング・ボーイ』(The Amazing Boy=恐るべき少年)の異名で知られる。現在WBA、WBC、そしてThe Ring誌のライトフライ級王者である寺地は、9月18日に有明アリーナで元王者のヘッキー・ブドラーを相手にタイトル防衛戦を行う。12ラウンド制のメインイベントといくつかのカードは、日本ではアマゾンプライムビデオで独占ライブ配信、米国内ではESPN+で放送される。同日開催カードには那須川天心のボクシング転向2戦目も含まれる。

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寺地が通算14度目となる世界タイトル戦に勝利すれば、間違いなくボクシングの歴史に名を残すであろう偉業に近づく。2023年現在、井上尚弥がパウンド・フォー・パウンドで名を馳せているだけではなく、日本ボクシング界全体がまさにルネッサンス(再興)の時代を迎えていると言っても良い。

『ザ・モンスター』こと井上はバンタム級を席巻し、同階級の全メジャー団体タイトルを約50年振りに統一し、スーパーバンタム級でもそれを目指す。そして、31歳の寺地はその井上に続き、ライトフライ(ジュニアフライ)級では史上初となる偉業を成し遂げようとしている。この階級が正式に設置されたのは1970年代中頃のことである。

WBA、WBC、そしてThe Ring誌の世界王者である寺地はすでにライトフライ級では地上最高のファイターだと認められている。しかし、真の世界一という称号を得るためには、獲得するべき世界タイトルはまだ2つ残っている。

スポーティングニュースでは2つのタイトルとの統一戦について、その実現度合いを探ってみた。

寺地はIBF王者シベナティ・ノンティンガと戦うか

ノンティンガ(12勝0敗、9KO)はIBFのライトフライ級世界王者だ。この南アフリカ人ボクサーは、昨年9月にエクトル・フローレスから12回2-1判定で勝利を挙げ、空位となっていた同タイトルを獲得した。

ノンティンガは攻守のバランスが良いボクサーだ。メキシコ・ティファナ出身のフローレスと敵地で戦ったにもかかわらず、2ラウンド目には鋭い右パンチでダウンを奪い、試合終了までプレッシャーをかけ続けて、優位を失わなかった。

今年7月には、それまで無敗だったレジー・スガノブ(フィリピン)の挑戦を退け、タイトル初防衛に成功した。母国で行われたこの試合でもノンティンガはダウンを奪い、大差の3-0判定勝利を収めている。

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『Special One』(特別な存在)の異名で知られるノンティンガのトレイナー兼マネージャーのコリン・ネイサン氏は、今回寺地に挑戦する、やはり南ア出身のブドラーとも仕事をしている。すでにネイサン氏と寺地陣営との間に交渉経緯があることは、このタイトル統一戦の実現を後押しするだろう。

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寺地はWBO王者ジョナサン・ゴンサレスと戦うか

この対戦(寺地 vs. ゴンサレス)は今年4月に実現するはずだったが、ゴンサレスがマイコプラズマ肺炎に罹ったため中止になった。

WBO世界ライトフライ級王者のゴンサレス(27勝3敗1分け、14KO)は、パズルに残る最後の1ピースだ。このプエルトリコ人スターはプロの階段を登るなかでいくつかの失敗を克服し、そしてさらに上を目指そうとしている。

『Bomba』(爆弾)の異名で知られるゴンサレスは32歳だ。2021年10月にエルウィン・ソトを破って王座を獲得。2度のタイトル防衛に成功した。マーク・アンソニー・バリガと岩田翔吉からともに3-0判定勝ちを収めている。脚を使うタイプのサウスポーだ。

後者の試合は日本のさいたまスーパーアリーナで行われた。その前にもゴンザレスは日本で戦ったことがある。2019年8月にWBO世界フライ級王者だった田中恒成からTKO負けを喫し、自身初の世界タイトル挑戦に失敗した試合である。ゴンサレスが日本での戦いを厭わないことは寺地戦の実現を後押しするはずだ。

しかし、ゴンサレスはライトフライ級の体重リミットまで落とすことに苦しんでいると認め、階級を上げることを示唆している。同級に留まったとしても、いずれWBOからは指名挑戦者と戦うことを義務づけられるかもしれない。

実際、10月27日にWBO同級10位のレイマン・ベナビデスとの防衛戦が決定したため、病気明けのゴンサレス自身、まずはこの試合に向け身体を仕上げ、勝つ必要がある。

そして寺地がブドラーとノンティンガを連破すれば(けっして容易なことではない)、あらためてWBOとの統一戦も見えてくるだろう。

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※本記事は国際版記事(著者Tom Gray)を翻訳し、日本向け情報を追記した編集した記事となる。翻訳:角谷剛、編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁
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