デビン・ヘイニーとライアン・ガルシア の間には、アマチュア時代からの因縁がある。両者の対戦成績は3勝3敗で、このライバル同士が4月20日(日本時間21日昼)、プロとして初めて対戦する。懸かっているのはヘイニーの持つWBC世界スーパーライト級タイトルだ。
一時は開催自体が危ぶまれた米ボクシング界切っての人気者対決は、ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで行われ、DAZNが全世界にPPVライブ中継する。
一時は中止危機もあった米人気者メガマッチがNYで実現
ヘイニーは、2019年にザウル・アブドゥラエフを下してWBC世界ライト級の暫定王座を獲得して以来、世界タイトルを保持し続けている。やがて正規王者に昇格したヘイニーは、2022年6月に敵地オーストラリアでジョージ・カンボソス・ジュニアを破り、WBA、IBF、WBO、リング誌のベルトを統一し、アンディスピューテッド王者となった。再戦条項により、ダイレクトリマッチを余儀なくされたヘイニーだが、カンボソスを再び退けた。
その後、元ライト級世界王者ワシル・ロマチェンコを接戦の末に下し、ベルトを保持。そして12月には階級を上げ、レジス・プログレイスからWBC世界スーパーライト級王座を奪取した。アマチュア時代のライバル、ガルシアとはこのベルトを懸けて戦うことになった。
「ライアンはボクシングに真剣に向き合っていないし、彼を尊敬している人たちの良いお手本にもなっていない。彼は巨大なインフルエンサー(Instagramで1000万人超え、Xで45万人超えのフォロワーを持つ)になったが、それを最大限に活かせていない」と、ヘイニーは『Boxing Scene』のインタビューに答えている。
かつてしのぎを削る間柄だったガルシアだが、王者として最前線に立つヘイニーにとっては今や不埒なボクサーと映っているようだ。
そのガルシアは2016年にプロ転向。ルーク・キャンベルを下してWBC世界ライト級暫定王座に就いたが、ケガとメンタルヘルスの問題でその勢いは止まった。エマニュエル・タゴエとハビエル・フォルトゥナ相手に連勝したガルシアは、キャッチウェイトのマネーファイト(興収優先の試合の意)でジャーボンテイ・デイビスと対戦し、7ラウンドでKOされた。
デイビス戦後、ガルシアはジョー・グーセンと袂を分かち、デリック・ジェームスを新しいトレーナーに迎えた。新生『KingRy』(キングライ=ライアンをもじったニックネーム)は、12月にオスカー・ドゥアルテをノックアウトで下し、再スタートを切ったばかりだった。
だが、ソーシャルメディア内外で物議を醸したガルシアが今回の試合に出場するにあたっては、いくつかの懸念があった。
今年1月に第二子(長男)誕生の発表の1時間後に離婚を明かしたことを皮切りに、階級違いのジェイク・ポールに対戦を要求したかと思えば、自身の死を連想させる投稿で周囲を驚かせた。さらには、ヘイニーと関係者がドラッグに手を染め、違法な人身売買に関わっているなど名誉毀損レベルの不穏な発言を連発。また、自身が児童虐待の被害者だったことまで告白していた。
こうした背景もあり、今回の試合を管轄するニューヨーク・アスレチック・コミッションはガルシアに精神鑑定と違法薬物検査を課したが、いずれも問題がなく、試合が確定した。
「ライアンが準備できるかどうか心配している人たちへ。彼は準備万端だ」と、ライアンの父ヘンリー・ガルシアはInstagramでこう語っている。
「心配すべきはデビン・ヘイニーだ。デビンがライアンのパワーを感じたら、この対戦にイエスと言わなければよかったと思うだろう。こんな格言がある。『逃げることはできても、隠れることはできない』」
4月18日の最終会見でヘイニーは、「ここまで長かった。ふざけた行為ももう終わった。これは簡単な戦いじゃないかもしれないが、オレがそれを簡単にやっつけちまうことを証明する戦いさ」と豪語した。ガルシアは「お互いリングの中央に立って、君が何をするか見てみようじゃないか。そしたらボクは君を追い詰めてノックアウトするから」と返した。
スポーティングニュースは、この試合に関する最新情報、試合時間、配信先、参考オッズ、対戦カードなど、知っておくべき情報を紹介する。
ヘイニーvsガルシアはいつ行われる?
ヘイニーvsガルシアは現地時間4月20日、日本時間21日に行われる。メインカードは日本時間午前9時開始となり、ヘイニーとガルシアがリングに上がるのは、アンダーカードの試合時間にもよるが、日本時間午後12時30分頃を見込む。
地域 | 日時 | メインカード開始 | メインイベント開始 |
米国/カナダ(現地東部時間) | 4月20日(土) | 20:00 EDT | 23:30 EDT |
日本 | 4月21日(日) | 9:00 JST | 12:30 JST |
ヘイニーvsガルシアの視聴方法
ヘイニーvsガルシアを含むメインカードは全世界でDAZNが独占PPV(ペイパービュー)ライブ配信する。
ボクシング中継実績のある、WOWOW(ワウワウ)、Abema(アベマ)、U-NEXT(ユーネクスト)、Lemino(レミノ)、スカパー!などでの中継は一切予定されていない。
ヘイニーvsガルシアの視聴料金
DAZN PPVは、「DAZNのいずれかの有料プラン」+「PPV料金」の視聴料金がかかる。以下すべて税込価格。
- DAZN Standard月額プラン:4200円
- DAZN Standard年間プラン:月々払い3200円x12(年間38400円)、一括払い32000円
- DAZN Baseball:月々払いのみ2300円x12(年間27600円)
- DAZN Global:980円(月額のみ)
上記のいずれかと - PPV:2200円
DMM x DAZNホーダイ(DMMプレミアム&DAZN Standard月額プラン込みで3480円)も対象となるが、DAZN for docomo、Abema de DAZNは対象外となっている。
なお、アメリカでも有料プランとPPVのセット料金がかかるが、PPVだけでも69.99ドル(154.4円レートで約10809円)となっており、日本はかなりおトクな価格になっている。
ヘイニーvsガルシアはどこで行われる?
米NYブルックリンのバークレイズ・センターで行われる。NBAのブルックリン・ネッツの本拠地であるこのアリーナは、ボクシングイベントの際は、約16000人を収容する。最後にボクシング興行が開催されたのは2022年10月で、ケイレブ・プラントがアンソニー・ディレルをノックアウトした。
ヘイニーvsガルシアの参考オッズ
米大手『Bet MGM』によれば、デビン・ヘイニーが「-900」で大幅な優勢、ライアン・ガルシアが「+575」でかなりの劣勢となっている。
このオッズはアメリカンオッズ式となり、「-900」は100ドルの配当を手にするのに900ドルをかける必要があり、当たった場合は900+100=1000ドルの払い戻し。「+575」は100ドルを賭けて当たれば575ドルの配当となり、100+575=675ドルの払い戻しとなる。
デビン・ヘイニーのプロフィール・戦績
- 国籍:アメリカ
- ニックネーム:ザ・ドリーム(The Dream)
- 生年月日:1998年11月17日(25歳)
- 身長:173cm
- リーチ:180cm
- 総試合数:31
- プロ戦績:31勝0敗(15KO)
ライアン・ガルシアのプロフィール・戦績
- 国籍:アメリカ
- ニックネーム:キングライ(KingRy)
- 生年月日:1998年8月8日(25歳)
- 身長:174cm
- リーチ:178cm
- 総試合数:25
- プロ戦績:24勝1敗(20KO)
ヘイニーvsガルシア 配信枠内予定対戦カード
- WBC世界スーパーライト級タイトルマッチ
- デヴィン・ヘイニー(c) vs ライアン・ガルシア
- スーパーライト級マッチ
- アーノルド・バルボーザJr. vs ショーン・マコーン
- スーパーミドル級マッチ
- ベクテミール・メリクジエフ vs ピエール・ディボンブ
- WBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦
- ジョン・ラミレス vs デビッド・ヒメネス
- スーパーウェルター級マッチ
- チャールズ・コンウェル vs ナサニエル・ガリモア
※本記事は国際版を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。