中谷潤人はバンタム級4団体統一できる?|リング誌元編集人が西田、井上拓、武居との対決を大胆予想

2024-07-13
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Naoki Fukuda

7月20日(土)、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人が、両国国技館でビンセント・アストロラビオを迎え撃つ。バンタム級世界王座すべてを日本人が保持する現在、4団体統一を目指す中谷が、ほかの3人の王者との対決するとしたら、その勝敗はどうなるのか。

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名門誌『The Ring』の元編集人で本誌格闘技部門副編集長トム・グレイがその「3つのカード」の勝敗を大胆予想する。


■井上尚弥に次ぐバンタム級完全制圧を目指す中谷潤人

中谷潤人は世界3階級制覇王者であり、名門誌『The Ring』や本誌のパウンド・フォー・パウンド・ランカーであり、WBC世界バンタム級王者として君臨する。そして、その背後には3人の同胞が確固たる地歩を固めている。今や、118ポンド(53.52キロ以下)階級で世界タイトルを狙うなら、必ず日本を経由しなければならない。バンタム級世界王座のベルトは現在、すべて日本人が保持しているからだ。

7月20日(土)に中谷は、東京・両国国技館でフィリピンのスター、ビンセント・アストロラビオを相手にした防衛戦に臨む。対抗王者たちとの統一戦に向けた前哨戦の位置づけだ。この試合は、那須川天心のボクシング転向第4戦などとともにAmazonプライムビデオで独占ライブ配信される。

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中谷は、エリートレベルで最もエキサイティングなファイターのひとりとしての地位を確立している。サウスポーの技術とハンドスピードは折り紙付きだが、話題を呼んでいるのは、KOアーティストとして名高いその強烈な打撃力だ。

若干26歳の中谷(27勝0敗、20KO)は、身長172cm/リーチ176cmという恵まれたフレームもあり、フライ級、スーパーフライ級、バンタム級で世界タイトルを獲得してきた。2月の118ポンドデビュー戦では、アレクサンドロ・サンチアゴを6回でストップし、現在保持しているタイトルを手にしている。スーパーフライ級時代にアンドリュー・モロニーを沈めた鮮烈なKOパンチのイメージもあり、バンタム級でその動向が最も注視されている。

そんな中谷が、バンタム級の覇権を確保するために勝たなければならない、「3つのカード」の気の早い勝敗予想をお届けする。


■中谷潤人は西田凌佑に勝てるのか?

時事

  • 西田凌佑の戦績:9勝0敗(1KO)
  • スタイル:左打ちのアウトボクサー
  • 身長:170cm / リーチ:173cm
  • 保持タイトル:IBF王座

プロキャリアわずか9戦目にして世界チャンピオンになった西田凌佑。今年5月、27歳の左腕は2度の世界タイトル保持者であるエマニュエル・ロドリゲスを12回判定で下し、IBF王座を獲得した。

「中谷vs西田」において問題となるのは、西田のパワー不足だろう。5月の王座決定戦では4ラウンドにロドリゲスをダウンさせたものの、キャリアを通してKO勝ちは1度しかない。

西田は左打ちのアウトボクサーとして小気味良いジャブと、詰めての鋭い左ボディを武器とするが、同じサウスポーの中谷には、アドバンテージを見い出し難い。中谷が反撃を恐れなければ、さらに大きな問題となるだろう。

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▶予想:中谷のKO勝ち

 


■中谷潤人は井上拓真に勝てるのか?

時事通信

  • 井上拓真の戦績:20勝1敗(5KO)
  • 身長:164cm / リーチ:163cm
  • スタイル:右ボクサーファイター
  • 保持タイトル:WBA王座

パウンド・フォー・パウンドのスーパースター、井上尚弥の弟である拓真は、誇張表現抜きで世界のボクシング界で最も成長したファイターのひとりだ。

2019年、拓真は当時のWBC王者ノルディン・オウバアリに判定負けを喫し、世界レベルには程遠いように見えた。しかし、それ以降は7連勝、うち3試合は世界タイトルマッチと絶好調にある。

ただ、中谷のリーチはWBA王者にとって長過ぎるかもしれない(約13cm差。4人の王者の中で160cm前半代は拓真のみ)。実直で安定したスキルとタフさは持ち合わせているものの、中谷の強打と上下の打ち分けをさばき切るのは困難に見える。

拓真には世界戦のゴングを待つだけの気品とリングセンスがあるかもしれないが、中谷に勝利することは、今のところ不可能に思える。

▶予想:中谷の3-0判定勝ち

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■中谷潤人は武居由樹に勝てるのか?

(Getty Images)

  • 武居由樹の戦績:9勝0敗(8KO)
  • 身長:170cm / リーチ:173cm
  • スタイル:左ボクサーファイター
  • 保持タイトル:WBO王座

中谷とWBOチャンプ武居由樹の対戦は、この3人の王者の中で最もエキサイティングな一戦かもしれない。

同じくサウスポーの武居は、K-1での王者経験も持つ元キックボクサーで、変則的な出入りとパワフルな攻撃力が持ち味。5月にはジェイソン・モロニーを判定で下し、西田同様9戦目で世界王者に就いた。

左打ちKOパンチャーという同カテゴリーの両者ではあるが、中谷はレベルが違う。武居はプロとして9人中8人をノックアウトしているが、中谷に対しては技術、スピード、経験でも物足りないというのが正直なところだろう。

27勝0敗20KOの中谷に比べて武居は粗も目立ち、モロニー戦では中盤戦以前のポイントで逃げ切ったが、後半戦ではモロニーに動きを見切られ、ダウン寸前の危うい場面もあった。まだ今の彼にとっては、中谷戦は危険な戦いと言わざるを得ないだろう。

▶予想:中谷のKO勝ち

【中谷vs各対抗王者:トム・グレイの総括】

中谷は試合が決まれば、今後早くて1年以内にバンタム級アンディスピューテッド・チャンピオンになる可能性がある。バンタム級に中谷を止められるファイターは存在しない!


※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。翻訳・編集:神宮泰暁(スポーティングニュース日本版)