最近、サウル”カネロ”アルバレス(メキシコ)はWBA世界ライトヘビー級(76.204~79.379kg)王者のディミトリー・ビボル(ロシア)との再戦を望んでいることを口にしていた。しかし、この31歳のスーパースターは元々の計画通りにゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)ともう一度だけ戦うことを決意したようだ。
カネロは次戦以降の予定をメディアに明らかにした。今年の初め、カネロは英国大手プロモーターのマッチルーム・ボクシング及びDAZNと契約を結んだ。それには5月7日のビボル戦と9月に予定されていたゴロフキン戦が含まれている。カネロはビボルに敗れた直後、すぐにビボルと再戦することを望んでいた。しかし、カネロは元々の路線に立ち返ることを決意した。まず、ゴロフキンを相手にスーパーミドル級統一王座の防衛戦に臨むことになる。
スポーツ専門局『ESPN』によると、カネロに与えられた決断までの猶予は30日だった。現在のところゴロフキン戦は9月17日が有力視されている。ビボルがカネロと対戦するには、ゴロフキン戦が終わるまで待たなくてはならない。
「(ゴロフキンと次に戦うことについて)はい。そうなります。私たちはすでにそのように合意した契約を結んでいます。ですから、私たちは計画通りに進みます。ゴロフキンとの戦いと、そしてビボルとの再戦はボクシング界でも最大の2試合になると思います。残念なことに、私たち(カネロとカネロ陣営)は敗れましたが、だからといって、私がまた挑戦しないというわけではありません。大切なことは忍耐力です。そして私たちはもう一度挑戦します」とカネロはESPNスペイン語版に語った(『Boxing Scene』より)。
「現時点で確かなことは、私たちは9月にリングへ戻ってくるということです。近いうちに試合についての公式発表を行います。もう少しだけ待ってください」
カネロは前述通り、5月7日にライトヘビー級で2度目となる戴冠をかけてビボルと対戦した。ボクシングスタッツサイト『CompuBox』によると、カネロの有効打数84発に対し、ビボルのそれは152発と、ビボルが圧倒的に優勢だった。ビボルはジャブを46発ヒットさせ、有効打が1ケタだったのは1ラウンドしかない。カネロの有効打が2ケタになったのは2ラウンドだけだ。
カネロとGGG(トリプルジー=ゴロフキン)の第3戦は常に話題を集めてきた。この2人が最初に対戦したのは2017年のことだが、そのときは物議をかもした判定で引き分けとなった。両者の再戦は2018年に行われた。カネロが禁止薬物のクレンブテロールに陽性と診断されたことで予定より数か月遅れたが、試合はカネロが優勢で判定勝ちを収めた。
それ以来、カネロは7勝1敗、ゴロフキンは4勝0敗の戦績を残している。直近ではゴロフキンは日本で村田諒太を破り、現在はWBA、 IBF、そして IBOのミドル級(69.853~72.575kg)王者である。新型コロナウイルスの影響と自身の故障のため、ゴロフキンは村田との対戦が2020年以来初めての試合だった。
カネロはわずか11か月でスーパーミドル級の統一王者になった。カラム・スミス(英国)、ビリー・ジョー・ソーンダース(英国)、そしてカレブ・プラント(米国)を次々に下し、WBA、WBC、WBO、IBF、そしてボクシング名門誌『The Ring』のタイトルを手にしたのだ。
雪辱の機会を待っていた40歳のゴロフキンにとって、約4年をかけて実現する因縁のカネロとの第3戦は、キャリア初のスーパーミドル級(72.575~76.204kg)での試合となる。
(翻訳:角谷剛)