日本時間9月22日(日)、英ロンドンで、「オールイングランド」(全英決戦)を謳う『リヤドシーズン・カード・ウェンブリー・エディション』が開催される。
ここでは、メインイベントとなるダニエル・デュボアvsアンソニー・ジョシュアのIBF世界ヘビー級タイトルマッチの見どころ、結果予想、経歴・戦績、参考オッズ、および全対戦カードをまとめる。
この一戦を制し、3冠&PFP最強ウシクへのリベンジに進むのは?
『ウクライナの魔術師』によってヘビー級最強への道を閉ざされた二人が、9月22日、ベルトとともにリベンジのチャンスを賭けてリングにのぼる。
『リヤドシーズン・カード・ウェンブリー・エディション』のメインイベントで争われるIBF世界ヘビー級タイトルはもともと、今年5月に史上初のヘビー級4団体統一を成し遂げ、パウンド・フォー・パウンド(PFP)のランキングでも現在頂点に君臨する地上最高のファイター、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が手にしていたものだ。
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ウシクはこの6月、IBFの指名試合を受けず、今年12月に予定されるタイソン・フューリー(イングランド)との再戦を優先するために自らベルトを返上(指名試合の例外申請がIBFに却下された)。ベルトは新たに暫定王者だったデュボアに手に渡った。そうした経緯を辿った同タイトルを賭けて戦う二人の視線の先には、間違いなく自分たちの行く手を阻んだウシクの存在があるはずだ。
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デュボア(21勝2敗)は、2017年のデビュー以来無敗を続け、英国や欧州のヘビー級のベルトを獲得。2020年のジョー・ジョイス(イングランド)に敗れて無敗記録はストップしたが、『ダイナマイト』はその後も4連勝を飾り、WBA世界ヘビー級レギュラータイトルを獲得した。
だが、2023年8月、ウシクとのWBAスーパー・WBC・IBF世界ヘビー級王座統一戦、ウシクを倒したパンチはローブローの判定を受け、結局その後にKO負け。デュボア陣営はノーコンテスト&再戦要求の提訴を行うも認められなかった。
そこから約1年、復帰戦でジャレル・ミラー(アメリカ)を下すと、今年6月にはフィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)とのIBF世界ヘビー級暫定王者決定戦に勝利、『ダイナマイト』はヘビー級のタイトル戦線へと戻ってきた。
「ファイターとして、人間として、自分について学んできた。自分はまだこれからの選手だし、今も頂点を目指している。AJは長い間キングだったかもしれない。ならば自分は王を討つキングスレイヤーになるよ」
対するジョシュア(28勝3敗)は、ロンドン・オリンピックの金メダルをはじめ、アマチュア時代に数々の実績を残し、大英帝国勲章を受賞している英国ボクシング界の英雄的存在だ。2016年から2018年にはWBA、IBF、WBOの世界ヘビー級のベルトを巻き、一度はアンディ・ルイス・ジュニア(アメリカ)に敗れるも再戦で3つのベルトを取り返し、2度の統一王座に輝いた実績を築いている。
2021年、そのジョシュアから3本のベルトを奪ったのがウシクだ。ジョシュアは翌年に実現したウシクとの再戦にも敗れ、タイトルから遠ざかっている。それでも、着実に4つの白星を積み重ねて今回のデュボアへの挑戦権を手に入れた。
「デュボアはずっと気にしてきた存在だった。ただ、今の目標はいいトレーニングキャンプをして、試合当日に素晴らしいパフォーマンスを見せることだけだ」
冷静に今回の対戦相手を分析するデュボアとジョシュア。だが、この試合を制した暁には、12月のウシクvsフューリーの勝者との対戦の可能性が浮上してくることは間違いないだろう。
IBF王座返上の際、「このベルトはくれてやる!」とSNSでうそぶいたウシクには、フューリー戦後にクルーザー級に戻るのでは、という噂も飛び交い始めているが、はたして二人にリベンジの機会は訪れるのか。
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💰デュボアvsジョシュアの参考オッズ
米大手オッズメーカーのオッズは以下の通り、いずれも挑戦者ジョシュアの優位を予想している。
- BetMGM
アンソニー・ジョシュア -400
ダニエル・デュボア +300 - FanDuel
アンソニー・ジョシュア -500
ダニエル・デュボア +370 - DraftKings
アンソニー・ジョシュア -425
ダニエル・デュボア +320
このオッズはアメリカンオッズ式となり、「-400」は100ドルの配当を手にするのに400ドルをかける必要があり、当たった場合は400+100=500ドルの払い戻し。「+300」は100ドルを賭けて当たれば300ドルの配当となり、100+300=400ドルの払い戻しとなる。
※9/18時点
🥊デュボアvsジョシュアの勝敗予想
ウシクが放出したIBFタイトルを巡る英国人対決は、27歳のデュボアが新時代をこじ開けるか、かつての『4強』の一角・ジョシュアが本流に返り咲くかの世代抗争でもある。
実績的には元3団体統一王者のジョシュアに軍配が上がり、各社オッズ傾向にもそれが出ている。デュボアは『ダイナマイト』の異名通り強打を武器としているものの、「打たれ弱さ」がかねてからの課題になっているからだろう。
キャリア初黒星となった2020年11月のジョー・ジョイス戦は10回KO負け。2022年12月のケビン・レレナ戦では逆転のTKO勝ちを拾ったが、初回に3度のダウンを喫する薄氷のファイトだった。ウシクとの団体内統一戦では幻のKO劇が話題にはなったが、試合再開後にウシクのジャブをさばくことができず、苦々しい2敗目となった事実は見逃せない。
この打たれ弱さは、ここ数戦、好戦的なファイトスタイルに変貌したジョシュアに対して不安の方が大きい。
ジョシュアもウシクとの2試合でスランプに陥り、トレーナーも何人か入れ替えたが、ベン・デイビソンとリー・ワイリーのチームがようやくフィットした。オットー・ヴァリンを5回TKOに沈め、タイソン・フューリーがよもやのKO負けを喫しかけた元UFC王者フランシス・ガヌーに何もさせない勝利で、本来のフィジカルを活かした強さを取り戻した。
デュボアは2016年頃、ジョシュアのスパーリングパートナーを務めた際に、ジョシュアを半ばKOしたという逸話を持つが、今8年前の話を持ち出してもデュボアの有利材料にはならないだろう。
ウシク程の速さと正確さはないにせよ、ジョシュアにはアマ時代に培ったスキルもあり、やや一辺倒なデュボアを籠絡するには十分と見て良い。どこまでデュボアの体力が持つかだが、中盤以降、10ラウンド当たりが目星になると予想する。
▶スポーティングニュースの予想:ジョシュアの10回KO勝ち
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🇬🇧ダニエル・デュボアの戦績・プロフィール
- 本名:ダニエル・ラファエル・デュボア(Daniel Raphael Dubois)
- ニックネーム:ダイナマイト
- 国籍:イギリス
- 生年月日:1997年9月6日(27歳)
- 身長:196cm
- リーチ:198cm
- プロ総試合数:23
- プロ戦績:21勝(20KO)2敗
🇬🇧アンソニー・ジョシュアの戦績・プロフィール
- 本名:アンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)
- ニックネーム:AJ
- 国籍:イギリス
- 生年月日:1989年10月15日(34歳)
- 身長:198cm
- リーチ:208cm
- プロ総試合数:31
- プロ戦績:28勝(25KO)3敗
🥊デュボアvsジョシュア:全対戦カード
- [メインイベント] IBF世界ヘビー級タイトルマッチ:
ダニエル・デュボア(王者、イングランド)vs アンソニー・ジョシュア(イングランド) - EBU欧州ミドル級タイトルマッチ:
タイラー・デニー(王者、イングランド)vs ハムザ・シーラズ(イングランド) - IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ:
アンソニー・カカーチェ(王者、アイルランド)vs ジョシュ・ワーリントン(イングランド) - ミドル級
イシュマエル・デイビス(イングランド)vs ジョシュ・ケリー(イングランド) - ライトヘビー級
ジョシュア・ブアツィ(イングランド)vs ウィリー・ハッチンソン(スコットランド) - ライト級
マーク・チェンバレン(イングランド)vs ジョシュ・パドリー(イングランド)
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 石山修二、神宮泰暁(スポーティングニュース日本版)