海外報道で内定が伝えられていたWBAスーパー・WBC・IBF世界バンタム級王者の「モンスター」こと井上尚弥の4団体統一王座戦が、12月13日(火)、有明アリーナ(東京都江東区有明)で行われることが正式に発表された。WBO同級王者のポール・バトラー(英国)との4団体統一戦はバンタム級の歴史として初となり、井上が勝てば日本人初の4団体王者となる。『dTV』と『ひかりTV』での独占配信も発表された。
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モンスター井上尚弥が歴史的偉業に挑む
今年5月、ノニト・ドネア(フィリピン)を2回TKOで破り、WBCバンタム級タイトルを手にした直後の井上は、まだ見ぬ強敵を求め、スーパーバンタム級転向を宣言した。そのうえで、バンタム級の4団体統一戦にも言及していた。WBA、WBC、IBF、WBO世界主要4団体のタイトルを統一した王者とは、「Unified Champion」ではなく、「Undisputed Champion」、つまり「誰もが認める王者」「議論の余地がない王者」「比類なき王者」「絶対王者」と称され、昨今のボクシング界の潮流のなかではその階級の頂上に立つ者を意味する。
この「比類なき王者」の定義は、年代によってWBAとWBCの2団体時代、IBFが加わった3団体時代、WBOが加わった4団体時代に分類される。4団体時代になったことで、統一戦の実現そのものが難しくなった故に、ボクサーとしては勝ち得るチャンスがあるなら手に入れたい称号だろう。WBC世界王者タイソン・フューリー(英国)を中心とするヘビー級戦線でも、長らく待たれる4団体統一王座戦がいっこうに実現せず世界中のボクシングファンもやきもきしている。
バンタム級でもはや敵なしとなった「モンスター」井上だが、スーパーバンタム級転向を遅らせたのは、4団体統一がやはり歴史的偉業だからだろう。これまで男子ボクシングの4団体統一王者は、2004年9月、オスカー・デラホーヤを破って第1号となったバーナード・ホプキンス(米国、ミドル級)から数えて、最新のデビン・ヘイニー(米国、ライト級)まで8人しか存在しない。英専門メディア『Boxing Scene』によると、2団体時代における1972年7月29日に行われた、エンリケ・ピンダー(パナマ)が統一王者ラファエル・エレーラ(メキシコ)に勝利した試合が、バンタム級最後の「Undisputed Championship Match(比類なき王者戦)」だという。今回の井上 vs. バトラーは「比類なき王者戦」のラベルがつく試合としては50年ぶりの実現だとし、4団体時代では史上初となる。
13日に都内で行われた4団体統一戦発表会見において、井上は日本ボクシング界の歴史を変えたいとし、歴史的な偉業に挑む覚悟を示した。
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井上がバンタム級制圧という偉業に臨む過程のなかで、当初WBOのベルトの持ち主は違うファイターだった。
2020年4月25日に当時WBO世界バンタム級王者だったジョンリール・カシメロ(フィリピン)とラスベガスでの3団体統一戦を行うことが決まったものの、コロナ禍の影響で延期され、のちにキャンセルとなった。その後もカシメロとの対戦が取り沙汰されたものの、カシメロはバトラーとの指名試合を腹痛や無理な減量行為で2度キャンセル。故意の素行不良と判断したWBOはカシメロからタイトルを剥奪し、暫定王者バトラーを正規王者として承認した。実力的にはバトラーよりもカシメロの方が上だとされるが、スーパーバンタム級転向を見据える井上にしてみれば、カシメロの将来的なバンタム級王者復帰を待つ時間はないだろう。
記者会見での井上は、これからの2か月で仕上げていくことを語り、バトラーについて穴のない選手と評価しながらも、圧倒的な力の差で4団体統一を実現すると宣言している。
井上 vs. バトラー戦は『dTV』と『ひかりTV』の独占配信
なお、12月13日の4団体統一戦『NTTドコモ Presents PXB WORLD SPIRITS WBA・WBC・IBF・WBO 世界バンタム級王座統一戦 井上尚弥 vs ポール・バトラー』は、日本国内ではメインスポンサーである『dTV』と『ひかりTV』において独占配信となることが発表された。
『dTV』は、NTTドコモ以外の携帯電話キャリアでも利用できる「dアカウント」を介したインターネット動画配信サービス。月額税込550円(初回入会1か月無料)、スマートフォンやタブレット、PC、対応したスマートTVなどで視聴できる。『dTV』では、「井上尚弥選手 全力応援キャンペーン」と題し、新規入会キャンペーンの実施も予定している。
『ひかりTV』は、インターネット光回線向けのセットトップボックス型テレビサービスで、CS(スカパー!)に近い専門チャンネル群とオプションによって地上波やBS放送などが視聴できる。また、基本プラン(月額税込1100円)以上の契約者であれば公式アプリを介してスマートフォンやタブレットからオンライン視聴も可能となる。