8月27日、バスケットボール日本代表は、FIBAバスケットボールワールドカップ2023の1次ラウンド第2戦(グループE)としてフィンランド代表と沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)で対戦。10点ビハインドで迎えた第4クォーターで猛攻を見せ、98-88と逆転勝利を収めた。日本にとってはワールドカップ(世界選手権)、オリンピックを通じてヨーロッパ勢から初勝利となる歴史的快挙だった。
試合の立ち上がりは共に固さが見られる展開だったが、日本は攻守でジョシュ・ホーキンソン(208cm)が存在感を発揮。第1Qの中盤以降は途中出場の河村勇輝(172cm)、立て続けにゴールに絡み9得点をあげた比江島慎(191cm)らが中心となり、徐々にオフェンスが動き出す。
しかし、7点リードで迎えた第2Qに入ると、フィンランドが反撃。日本はなかなか3ポイントを決められずに得点が伸びないなか、NBAユタ・ジャズのオールスター選手でありチームの大黒柱であるラウリ・マルカネン(213cm)、ミカエル・ヤントゥネン(204cm)らにインサイド、アウトサイドからの得点を許し、36-46と日本が10点差を付けられて前半を折り返す。
後半に入ると我慢比べのような展開となるが、日本は徐々に点差を広げられ、残り3分を切ったところで53-71とこの試合で最大となる18点差をつけられてしまう。しかし、日本はここから粘り強さを発揮。必死のディフェンスで失点を抑える一方、ゴール下ではホーキンソンが奮闘し続け、点差を縮めていく。さらに第3クォーター終了間際には馬場雄大が3ポイントを決め、再び63-73と10点差まで戻した。
そして迎えた最終第4Q、河村、富永啓生(188cm)の22歳コンビが爆発する。河村はスピードを生かしたゲームメイクに4本中4本成功の3ポイントなど積極的に得点に絡み、富永は得意の3ポイントのみならず、攻守全般で縦横無尽にコートを駆け巡ってチームを盛り立て、主導権を徐々に手繰り寄せていく。
フィンランドは単調なアウトサイドシュートを放つ場面が増えてリズムを崩し、シュート成功率が一気に下がり(3ポイントは第3クォーターまでの15本中9本成功に対して14本中3本成功のみ)、点差は徐々に縮まっていく。
日本は残り4分35秒に河村がファウルを受けながらレイアップシュートを決めて78-78の同点に追いつき、さらにフリースロー1本を決めて逆転すると、その後はさらにチーム全体でギアをアップ。このクォーターだけで35-15とフィンランドを圧倒し、大逆転劇を演じてみせた。
日本は、ホーキンソンが37分32秒とほぼフル出場で28得点、19リバウンドをマーク。フリースローは15本中14本の成功とペイントエリアを制圧した。富永は18分35秒の出場で4本の3ポイント成功を含む17得点、河村は25分11秒の出場で25得点、9アシストをマークした。大黒柱の渡邊雄太は脚を故障した様子もあり、30分弱の出場で4得点にとどまるなか、3人を中心にチーム一丸となってもぎ取った勝利だった。
チーム全体のスタッツで振り返ると、オフェンスでは初戦のドイツ戦でわずか17.1%(35本中6本成功)だった3ポイントの成功率が39.3%(28本中11本成功)に劇的に上昇。試合後、トム・ホーバス・ヘッドコーチは、このスタッツについて「そこまで(成功率約40%)いけば、私たちは危険ですよ」と胸を張った。また、ディフェンスではホーキンソンの奮闘もあり、リバウンドで36-35とフィンランドを上回ったことも勝因の一つに挙げられる。
日本は次戦、27日(火)に1次リーグ最終戦(第3戦)としてオーストラリアと対戦する。互いに1勝1敗同士。相手は格上だが、フィンランド戦の勢いそのままに、日本がどのような戦いを見せるのか注目される。
テキスト速報形式でお伝えした試合経過、ハイライト、最終スコアは以下の通り。
スコア
チーム | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
日本 | 22 | 14 | 27 | 35 | 98 |
フィンランド | 15 | 31 | 27 | 15 | 88 |
試合経過・ハイライト
※時刻は日本時間表記。
23:15 試合終了!!!! 日本が98-88でフィンランドに勝利! W杯(世界選手権含む)、オリンピックを通じてヨーロッパ勢から歴史的初勝利!!!! 世界選手権では2006年大会(日本)のパナマ戦以来の勝利!!!!
23:14 渡邊、フリースロー2本を決めて足を引き摺りながらベンチに。
23:13 河村が2本のフリースローを外すも、相手のターンオーバーで日本のマイボールに。残り16秒で渡邊がファウルをもらう。
23:11 フィンランドのタイムアウト。日本が96-88のリード。
23:10 河村がまたまたまた、3ポイント! 富永もレイアップで96-86! 残り40秒!
23:07 日本のタイムアウト。残り1分22秒。91-86。
23:04 河村が再び3ポイント、さらにホーキンソンも加点するがフィンランドも反撃し、89-83。残り1分30秒。
23:02 日本、ファーストブレイクからホーキンソンがファウルもらい、フリースロー2本を決めて、6点差。4Q残り3分24秒。
23:01 フィンランドのタイムアウト。
23:00 ホーキンソンがこの日18リバウンド目をゲットすると、今度はボール保持する河村のスクリーナーとしてトップ位置で2メンゲーム。河村が3ポイントを決め、4点差!
22:58 河村が1on1からのドライブで2ポイントでファウルをもらい、1スロー。フリースローを決め、79-78とついに逆転!
22:56 吉井のシュートブロックに対してフィンランドがアンスポーツマンライクファイルを主張しチャレンジも変わらず。フリースロー2本を決め、78 - 74も、ホーキンソンが入れ返し、再び2点差。
22:51 ホーキンソン、河村らの活躍で、74-76 と2点差に! 4Q残り5分38秒。
22:49 フィンランドのシュートが落ち始め、ターンオーバー時に富永に対してアンスポーツマンライクファウル。富永が1本のフリースローを決めて67-73で日本のオフェンス。
22:45 互いにフィールドゴールを決められない重い展開の中、富永が富樫からアシストを受け、トップ位置からスリーーー!!! 66-73。4Q残り8分36秒。
△第4クォーター
22:42 第3クォーター終了。日本 63-73 フィンランド
22:41 ホーキンソンの2本のフリースロー、トップ位置の馬場が富樫からアシストを受け3ポイントを決め、63-73!
22:37 富永、トップ位置でボールをもらい、ステップバックで3ポイント! 日本が58-71と反撃開始。
22:34 日本のタイムアウト。3Q残り3分37秒。タイムアウト明け後、マルカネンが2本のフリースローを決め、フィンランドが71-53とリード。
22:33 日本は必死のディフェンスで活路を見出そうとするが、得点差を詰めることができず。3ポイントもなかなか決まらない。
22:28 49-63の3Q残り4分27秒。サイドラインに出たタッチボールはフィンランドボールと判定されるも、日本はヘッドコーチチャレンジ。判定が覆り、日本のスローインでゲーム再開。その後、ホーキンソンがファイルをもらい、2本のフリースローを決め51-63。
22:22 比江島が3ポイントを決めるも、フィンランドはヴァルトネンの3ポイントなどで加点。フィンランドはここまで3ポイント15本中9本成功(成功率60%)、日本は13本中4本成功(成功率31%)。49-61。3Q残り5分39秒。
22:19 河村が見事なフローターを決め盛り上がる! 42-54。3Q残り8分7秒。そして比江島がマルカネンからオフェンスファウルを奪う。
22:16 後半開始。日本のボールポゼッションから、ピック&ロールで河村からホーキンソンに渡り、2ポイントを決めるも、フィンランドは連続フィールドゴールで51-38とリードを広げる。
△第3クォーター
前半スタッツ
- 日本:比江島14得点、ホーキンソン8得点9リバウンド、富永6得点、渡邊2得点
- フィンランド:マルカネン12得点5リバウンド、ヤントゥネン10得点、4アシスト
22:00 前半終了。日本36-46フィンランド
21:58 フィンランドはサリン、マルカネンらが得点を重ね、43-36とリードからンカムアが3ポイントを決め、46-36と10点リードに。フィンランドがタイムアウト。2Q残り2.3秒。
21:53 フィンランドはマルカネンの3ポイントで37-30とリードを広げるも、比江島がドライブから2ポイントをねじ込み、ファウルをもらいカウント1スロー。33-37。2Q残り1分43秒。
21:52 フィンランドのタイムアウト。2Q残り2分58秒。
21:51 フィンランドはヤントゥネンらが得点を重ね、34-28に。この日絶好調の比江島がコートイン直後、ドライブからファウルをもらう。
21:48 日本タイムアウト。2Q残り3分49秒。フィンランドが30-28とリード。
21:47 フィンランドに逆転され、28-30となるが、その後の展開でこの日、リバウンド、ディフェンスに奮闘するホーキンソンがリトルのドライブをブロック!
21:44 河村が左サイドからベースラインドライブし、右コーナーで待つ冨永にアシスト、そして3ポイント! その後のオフェンスでフィンランドの19歳、リトルがお返しの3ポイント。28-27。
21:40 渡邊がドライブからシュートファウルをもらう。しかし、フリースロー2本を落とす。25-23。2Q残り6分48秒。
21:38 富永がこの試合初の3ポイント!
21:37 日本タイムアウト。2Q残り8分46秒。タイムアウト後にフリースロー2本返され、22-21。
21:35 フィンランドは立ち上がりから2ポイントで得点を重ねる一方、日本はミスが目立ち、22 - 19。
△第2クォーター
21:31 第1Q終了。日本22-15フィンランド
21:29 比江島が2ポイント、さらにドライブでファウルをもらいフリースローを2本決める。すでにこの試合で9得点。さらに河村も2ポイントを決める。22-15。
21:26 河村のレイアップで15-10とすると、比江島がドライブからファイルをもらい、フリースロー1本を決め16-10。
21:23 ゴール下の河村からボールを受けた比江島慎が左45度から3ポイント! ファウルも獲得し4点プレイに!
21:21 フィンランドのターンオーバーが目立つ。日本はルーズボールをしっかり確保。 ホーキンソンがフリースロー2本を決め、9-5。1Q残り4分8秒。渡邊が馬場に代わり、コートイン。
21:18 富樫の3ポイント外れるも、馬場がオフェンスリバウンド。富樫→河村勇輝に交代。渡邊も左前腕出血のため、吉井裕鷹に交代。1Q残り5分32秒
21:15 マルカネンの2ポイント後、トップの富樫からゴール下に飛び込んだホーキンソンにパスが渡り、カウント1スローで逆転。7-5。
21:13 フィンランドのマケシュニが先制の3ポイントもすかさず馬場がドライブ。さらに渡邊がジャンプショットを決め4-3と逆転。
21:10 ティップオフ!
△第1クォーター
スターター
日本代表
- G 2 富樫勇樹
- F 31 原修太
- F 18 馬場雄大
- F 12 渡邊雄太
- C/F 24 ジョシュ・ホーキンソン
フィンランド
- G 21 エドン・マクシュニ
- G 9 サス・サリン
- F 13 オリビエ・ンカムア
- F 18 ミカエル・ヤントゥネン
- C 23 ラウリ・マルカネン
21:01 両国の国歌斉唱
20:45 ティップオフまであと25分。
20:38 ティップオフまであと30分。その前に佐々木クリスさんの解説でおさらい!
20:10 ティップオフまであと1時間!
19:50 ティップオフまであと1時間20分。
19:24 Eグループの1次ラウンド1勝同士の対戦となったドイツ対オーストラリアは接戦の末、ドイツが85 - 82で勝利を収め、通算2勝0敗とした。オーストラリアは1勝1敗に。
△ティップオフ前
※以下、試合前時点の情報。
試合概要・対戦カード・日程・会場
- 大会名:FIBAバスケットボールワールドカップ2023
- 対戦カード:日本代表(0勝1敗) vs. フィンランド代表(0勝1敗)
- 日程:8月27日 (日)21:10ティップオフ予定
- 会場:沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)
放送予定(テレビ中継・インターネット配信)
- テレビ地上波:テレビ朝日系列
- テレビBS/CS:なし
- インターネット:DAZN、バスケットLIVE、TVer
※試合開催・放送予定は主催者・放送局の都合により変更になる場合があります。最新情報は各公式サイト等をご確認ください。
FIBAランキング
- 日本:36位
- フィンランド:24位
※順位は2023年2月発表。最新ランキング一覧。
日本代表メンバー一覧
- 2 富樫勇樹(PG/167cm/千葉ジェッツ)
- 5 河村勇輝(PG/172cm/横浜ビー・コルセアーズ)
- 6 比江島慎(SG/191cm/宇都宮ブレックス)
- 12 渡邊雄太(SF/206cm/フェニックス・サンズ)
- 18 馬場雄大(SG/195cm)
- 19 西田優大(SG/190cm/シーホース三河)
- 24 ジョシュ・ホーキンソン(C/PF/208cm/サンロッカーズ渋谷)
- 30 富永啓生(SG/188cm/ネブラスカ大学)
- 31 原修太(SF/187cm/千葉ジェッツ)
- 75 井上宗一郎(PF/201cm/越谷アルファーズ)
- 91 吉井裕鷹(SF/196cm/アルバルク東京)
- 99 川真田紘也(C/204cm/滋賀レイクス)
※選手名の前の数字は背番号。カッコ内は左からポジション、身長、現所属。
コーチングスタッフ
- ヘッドコーチ:トム・ホーバス(日本バスケットボール協会)
- アソシエイトヘッドコーチ:コーリー・ゲインズ(日本バスケットボール協会)
- アシスタントコーチ:勝久ジェフリー(川崎ブレイブサンダース)
- アシスタントコーチ:佐々宜央(宇都宮ブレックス)