【MLB】山本由伸のポスティング移籍の流れを解説:日本球界最高右腕の行き先は

2023-12-12
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Getty Images

MLBのフリーエージェント(FA)が11月7日(現地時間6日)に正式に始まって、早1か月が経過した。そして、日本球界の大物の一人はまだMLBで一球も投げていない。大谷翔平がドジャースへ10年総額7億ドル移籍して、山本由伸の価値は高まる一方だ。

オリックス・バファローズのエース、山本由伸は11月21日(現地時間20日)にポスティングされ、正式にメジャーへの道を歩み始めた。彼は1月5日まで、MLBの球団と契約するための期間が設けられる。

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山本は並外れた投手である。彼は25歳で、日本プロ野球のサイ・ヤング賞に相当する沢村賞をすでに3度受賞している。NPBでの7シーズン、山本は897イニングを投げて防御率1.82、922奪三振、WHIPはわずか0.935。昨年は171イニングを投げて防御率1.16、176奪三振、28四球、119安打という素晴らしい成績を残した。

大谷翔平を除けば、MLBの今FA市場で、特に年齢と卓越した伸びしろを併せ持つ選手として、山本より高い評価が期待される選手はいないだろう。彼は最終的にどのような球団に移籍するのだろうか。ポスティング移籍の流れは以下の通りだ。

山本由伸ポスティング移籍の流れ

山本は11月21日にポスティングされ、MLB球団との契約の窓口が翌日、正式に開かれた。しかし、山本がバファローズに戻る可能性は極めて低い。

ポスティングのプロセスには多くのことがある。その背景には、MLB球団が日本人選手と無報酬で契約することを防ぐため、そして日本球団が日本残留を希望する選手をMLBに送り出すことを防ぐため、という考えがある。

その流れは、まず選手がポスティングを希望することから始まる。球団はその選手の要求を受け入れるか拒否するかを決めることができ、拒否すれば、その選手は球団に残留することになる。今回のケースでは、山本のポスティング希望は受理された。

次は交渉だ。山本はMLB球団と会い、入札を受け始める。しかし、一般的なフリーエージェントとは異なり、山本がどのようなオファーを受けるにしても、解除料というしわ寄せが来る。

NPB球団は選手をポスティングするため、退団する選手に対してまとまった金銭を提供する解除料を受け取る権利がある。MLB.comによれば、この契約解除金にはいくつかの異なる結果がある:

  • 2500万ドル以下のMLB契約では、契約総額の20%
  • 2500万1ドルから5000万ドルまでのMLB契約では、最初の2500万ドルの20%と、2500万ドルを超える残りの金額の17.5%
  • 5000万1ドル以上のMLB契約の場合、解除料は最初の2,500万ドルの20%+次の2,500万ドルの17.5%+5,000万ドルを超える残りの金額の15%
  • マイナー契約の場合、契約解除料は契約ボーナスの25%。また、契約にMLBの条件が含まれており、その選手がアクティブロースターに加えられた場合、追加料金が発生する
  • ボーナス、サラリーエスカレーター、オプションが含まれる契約を結んでいる選手が登録された場合、その選手が獲得したボーナスやサラリーエスカレーターの15%、または行使されたオプションの15%の追加料金が発生

例えば、ある選手が1億ドルの契約を結んだ場合、最初の2500万ドルは500万ドル、2番目の2500万ドルは440万ドル、最後の5000万ドルは750万ドルなので、NPB球団は1690万ドルを受け取ることになる。

山本が少なくとも2億ドルの契約を結ぶと予想する人は多い。もし山本が2億ドルに達する契約を結べば、3190万ドルがバファローズに戻ることになる。

山本由伸の代理人

山本の代理人は大手エージェント「ワッサーマン・グループ」のジョエル・ウルフ氏である。

ウルフ氏は、昨年の日本人トップFAの千賀滉大選手(メッツと5年総額7500万ドルの契約)や、ヤンキースのスラッガー、ジャンカルロ・スタントン選手(当時、MLB史上最高額となる13年総額3億2500万ドルの契約延長)の代理人を務めるなど、MLBで注目される選手の代理人を数多く務めている。

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山本由伸の移籍先

球界のほぼすべてのチームが山本との契約に興味を持つはずであり、彼を必要としている可能性がある。契約と同時にサイ・ヤング賞を獲得できる稀有な投手であり、まだ25歳なので、7年から8年の契約で全盛期のほとんどをカバーできるだろう。

以下は、山本と契約する上位候補となるべき5球団である:

カージナルス

2023年シーズンに向けて、カージナルスのアキレス腱は投手であることは誰もが知っていた。空振り率に欠け、コンスタントにアウトを取るのに苦労したベテランの先発投手が何人もいて、合計防御率は4.83だった。

カージナルスはすでに、トップ・ターゲットの一人と考えられていたアーロン・ノラを逃している。セントルイスはローテーションを支える投手を切実に必要としているのだ。山本が開幕スタメンやプレーオフ第1戦先発の可能性もあり、セントルイスは、ナショナル・リーグ中地区の大混戦の状況を好転させることができるかもしれない。

カブス

カブスは9月に調子を落とし、プレーオフ争いから脱落した。シカゴはオールスターのマーカス・ストローマンがFAとなり、ジャスティン・スティールとカイル・ヘンドリックスを擁するローテーションのトップに、空振りに優れた先発投手を起用できる。

シカゴには資金がある。クレイグ・カウンセルを球界最高年俸の監督にしたことで、それが証明された。カブスはコディ・ベリンジャーも有力候補の中で、山本がどの位置にいるかが、このエース候補をどれだけ追いかけるかの最大の決め手になるかもしれない。

ジャイアンツ

サンフランシスコは近年、大型FA選手を獲得しては空振りに終わっている。アーロン・ジャッジをもう少しで獲得するところだった。カルロス・コレアとの契約もあったが、どちらも獲得できなかった。大谷の獲得にも失敗したジャイアンツは、山本に魅力的なオファーを提示する必要があるかもしれない。

山本は西海岸のチームを好むという噂もある。もしそうなら、ジャイアンツはナショナル・リーグ西地区で、勝利のために出費を惜しまず、近年では、ローガン・ウェブやケビン・ガウスマン、カルロス・ロドンといった投手を獲得しているチームとして、魅力的な移籍先になるかもしれない。

メッツ

ニューヨークは2023年、マックス・シャーザーとジャスティン・バーランダーに率いられたベテラン先発陣を揃えようとした。チームは苦戦を強いられたが、2人の高給先発投手のせいではない。昨年のトレードデッドラインで両者をトレードしたオーナー、スティーブ・コーエン氏のチームは、現在ローテーションにいくつかの穴を抱え、野球界で最も高額なロースターの1つで早期の立て直しを模索しているのは間違いない。

メッツは昨年、ワッサーマンが代理人を務める千賀とすでに契約を交わしており、今オフには山本の獲得に乗り出すはずである。コーエンは全力投球を心得ており、山本のためにレッドカーペットを敷く準備が整っているかもしれない。

ヤンキース

ヤンキースは、かつてのヤンキースであることを証明する必要がある。ヤンキースは、老朽化した契約とロースターに空いた大きな穴を抱え、少々悲惨な状態にある。2023年にサイ・ヤング賞を受賞したゲリット・コール以外の成績が大きな懸念材料となったローテーションは、対処が必要な分野のひとつだ。

ニューヨークも大谷の獲得に失敗し、このチームが混戦のアメリカン・リーグで勝ち抜くためには、別の大きな波風を立てる必要があるだろう。山本と契約して、コールと山本の最強の2枚看板を作ることは大きな一歩になるだろう。特にロドンが悲惨な2023年から立ち直ることができればなおさらだ。

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この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。
翻訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)

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