春のセンバツの選考基準とは?秋季大会は予選ではない?|選抜高校野球

2024-01-23
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(Jiji Press)

1月26日に第96回選抜高等学校野球大会(センバツ)の選考委員会が開催され、出場する32校が決定する。ここでは出場校の選考基準について解説する。

春と夏では出場条件が異なる

例年、高校野球では選抜高等学校野球大会(春のセンバツ)と、全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)、そして秋に行われる明治神宮野球大会の3つの全国大会がある。そのうち一般的に「甲子園」と呼ばれるのは春と夏の大会だ。

3年生にとっては最後の公式戦(※)となる「夏の甲子園」は、全国47都道府県の優勝校49校(北海道は南北、東京は東西に分かれるため2校ずつ)が出場する。

※夏の甲子園上位進出校等が出場する国民体育大会(国体)は除く

新チームになって行われる秋季大会で、各地区(関東、近畿etc)大会を勝ち抜いた10校が明治神宮大会に出場。翌年行われる春のセンバツには、秋季大会で好成績を残したチームなど32校が出場することになる。

春のセンバツに出場する32校の内訳

春のセンバツには前年の秋季大会の成績などから、32校が選出される。その内訳は一般枠29、神宮大会枠1、21世紀枠2となっており、一般枠は北海道1、東北3、関東・東京6・東海3、北信越2、近畿6、中国2、四国2、九州4からなる。

一般枠は秋季大会の結果や内容などを基準に選考される。例年は上位校が選出され、2枠の地区は決勝進出の2校が選出されることが多い。

春のセンバツの選考基準

一方で春のセンバツは、文字通り「選抜」大会だ。夏とは違い、必ずしも秋季大会で勝ったチームが出場する訳ではない。秋季大会の試合結果は重要視されるが、予選ではないからだ。

運営委員会で選出された選考委員が、1月下旬に行われる選考委員会において、出場校選考基準に基づいて厳正、公正に選出する。この選考基準について、公益財団法人日本高等学校野球連盟(高野連)のウェブサイトでは以下のように定めている。

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出場校選考基準
(1) 大会開催年度高校野球大会参加者資格規定に適合したもの。
(2) 日本学生野球憲章の精神にのっとり、大会理念にふさわしい活動を行っているもの。
(3) 別に定める選考ガイドラインにもとづいて選出する。

この選考基準は2023年の大会から変更されており、それに伴い「選考ガイドライン」が設けられた。

ガイドラインでは、センバツの特色は予選を持たないこと、秋季大会の試合結果は重要ながらも、あくまで参考資料の一つであることなど原則を定めている。

また評価のポイントについては、秋季大会の試合結果と試合内容の割合を同程度とすることや、野球の実力だけでなく野球に取り組む姿勢やチームワークなども対象とすること、できるだけ多くの都道府県から出場できるように地域性を考慮すること、府県大会よりも選考委員が視察する地区大会の結果・内容を優先することなどが定められている。

センバツの選考をめぐって起きた議論

2022年に行われた第94回大会では、前年秋の東海大会準優勝の聖隷クリストファーが選考から漏れ、ベスト4の大垣日大が選出されたことが大きな議論を呼んだ(念の為、これは当事者となった2校を批判するものではないことを記しておく)。

元々、秋季大会の結果はあくまで参考資料という位置づけであり、決勝で大敗した準優勝校が落選し、準決勝や準々決勝で善戦した学校が選出されることはあった。

とは言えこれまでの選出を見れば上位校が選出されるのが順当であることは一目瞭然で、しかも2校の結果・内容からは明らかな力量の差は認められず、異例とも言える選出だった。

さらに「個人個人の力量で勝る大垣日大か、粘り強さの聖隷かで選考委の賛否も分かれましたが、投打に勝る大垣日大高校を推薦校とします」という選考委員長の言葉もあり、不透明な選考過程が問題視されたのだ。

これを受けて高野連では「センバツ改革検討委員会」を開催。選考基準を再確認し、透明化を目指して「選考ガイドライン」を定めるに至った。

ガイドラインに定められた内容は、その多くが従来も踏襲されてきたものとなっている。しかしこれを明確にし、「選考委員それぞれが選出の理由を説明できるように努める」ことで、選考の透明化を図る考えだ。