2023年のプロ野球、カギを握るのは過去の新人王たち

2023-08-16
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時事通信

栗林、山崎、大勢がダメだと…

セ・リーグは阪神の「アレ」が現実味を帯びてきた。岡田彰布監督の言う「優勝=アレ」である。その姿がだんだん遠くになるのを見つめているのが広島、DeNA、巨人。

この3チーム、新人王が不調、あるいは戦列離脱がもろに響いた。

広島はなんと4人の新人王を抱えている。いずれも投手で、野村祐輔(2012年)大瀬良大地(14年)森下暢仁(20年)栗林良吏(21年)である。

先発で頑張っているのが森下。昨年まで3シーズンで28勝を挙げ、年俸1億円を獲得する出世ぶりで、球団によれば大リーグの前田健太をしのぐ速さだという。

大瀬良は以前の球威が戻らず、立ち上がりに失点する試合が増えている。野村は6月下旬にようやく一軍に上がった。そのときの登板がデビューから203試合連続先発という見事な復活だったが、猛暑の季節にどう貢献できるか。

痛いのは栗林のクローザー明け渡しである。37、31セーブとここ2年は絶対的クローザーだったが、失敗を重ねた。新井貴浩監督が栗林を守護神の座から降ろしたことはチームにとってショックは大きかったはずである。

栗林と同じ状況なのが山崎康晃と大勢(翁田大勢)。山崎は昨年、29歳で最年少200セーブ(8人目)を記録し、今季も抑えでしばらく投げてきたのだが、夏前にクローザーを外され、中継ぎの登板となった。チームは形が変わったのか、連敗でずるずると後退した。

大勢も故障でベンチから消えた。巨人はただでさえ救援投手のやりくりで苦しんでいただけに影響は計り知れなかった。

首位の阪神には外野手の高山俊(16年)がいるが、戦力に入っていない。

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オリックスとヤクルト

今シーズンの異変といえば、ヤクルトの不振に尽きる。セ・リーグ2連覇中で、今年も優勝候補の筆頭だっただけに下位に低迷しているのは、予想外もいいところである。開幕5連勝の強さは何だったのか。

同じ2連覇中のオリックスはパ・リーグ3連覇へまっしぐら。7月9日に首位に立ち、8月にかけて“真夏の貯金”を重ねている。

このオリックスの強力投手陣の一人が21年新人王の左腕宮城大弥。エース山本由伸に次ぐ快投を続けている。

対するヤクルトは3人の新人王を抱えている。19年の新人王だった村上宗隆は昨年、三冠王にMVPと大化けしたが、今シーズンはウソのような低調な打撃を続けてきた。それが「低迷の元凶」と言われた。13年の小川泰弘は勝ったり負けたりである。あと青木宣親(05年)がいる。

頑張るベテラン

10年以上前の新人王が活躍しているのも今季の特徴である。

03年=和田毅(ソフトバンク)
05年=青木宣親(ヤクルト)
07年=田中将大(楽天)
10年=長野久義(巨人)
11年=沢村拓一(ロッテ)
12年=益田直也(ロッテ)
13年=則本昴大(楽天)

和田、青木、田中、沢村は大リーグ経験者である。和田と田中、則本は先発ローテーションを守っているし、沢村も中継ぎで好投。益田はクローザーとして頑張っており、ロッテの躍進を支えている。

青木は不振のチームを引っ張っている。長野も代打、先発と夏場にハッスル、とベテラン勢が戦力になっているのは頼もしい。

このほか目立つのは17年の京田陽太(DeNA)と源田壮亮(西武)の両内野手。15年の有原航平(ソフトバンク)、18年の東克樹(DeNA)、20年の平良海馬(西武)の投手たちである。

14年の石川歩(ロッテ)、18年の田中和基(楽天)、19年の高橋礼(ソフトバンク)らはどうしたのだろう。