キャンプで豪快アーチを連発する村上宗隆。各チームはヤクルト3連覇阻止を目指して“村上キラー”の育成、発掘に力を注いでいる。
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打率に“村神さま”の弱点あり
2022年の村上の成績は三冠王。打率、本塁打、打点の打撃の主要3部門を独占した。
- 打率:3割1分8厘
- 本塁打:56
- 打点:134
このほか安打155、四球118(敬遠45)、三振128、長打率7割1分だった。ヤクルトがセ・リーグ2連覇したのは村上の打力にあった。
他チームが優勝、あるいは上位を狙うには、この最強打者を抑えなければ道は開けない。モンスター封じの策はあるのか。
「3部門を見て気が付くことがある。打率だ。三冠王にしては低すぎる。そこだよ、狙いは」
こう指摘した声を聞いた。なるほど歴代の三冠王の打率と比べると低い。これまでは落合博満の3割2分5厘がもっとも低かった。
つまり、決して確実性は高くない、と見たわけである。昨年の終盤は打率を下げたし、オリックスとの日本シリーズでは2割を切った。
最も抑えた巨人投手陣
村上の56本塁打の内訳でチーム別は、セ・リーグが広島と中日がともに13本、DeNA9本、巨人8本、阪神7本の計50本。パ・リーグとの交流戦で6本だった。
村上を2割台に抑えたのは巨人と阪神。最も抑えたのは巨人で2割7分台に。エースの菅野智之は、前半戦はほとんど打たれなかった。低めの変化球がコントロールされていたからだった。ただし甘くなると外野席へ運ばれた。失投を逃さない村上の打撃の良さがうかがえる。
このほか村上に強かったのは広島の大瀬良大地やDeNAの大貫晋一らがいたが、やはり制球が甘いとホームランを打たれた。
村上の本塁打の特徴はどの方向にも打ち込むテクニックである。右翼25本、中堅13本、左翼18本。左打ちだから右への本数が多いのは当然だが、あとの数字は投手にとって脅威でしかない。
また、試合を3イニングずつに分けた場合でも、序盤、中盤、終盤と平均してホームランを打っている。
各チームが参考にしているのが昨年の日本シリーズと思われる。7試合で26打数5安打、5打点で本塁打は第1戦での1本だけ。第3戦まで4安打放っていたものの、第4戦から第6戦まで3試合ノーヒットで、最終第7戦でようやく1安打した。
村上の湿ったバットに象徴されるように、第3戦まで2勝1分けだったヤクルトが第4戦から4連敗して負けた。最初の3連戦でオリックスは欠点、短所を見抜いたのだろう。コントロールさえ間違わなければ、と。
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“村上キラー”はだれか
どのチームも村上対策として村上担当、いわゆるワンポイントリリーフを置くだろう。だれが名乗りをあげるか。“村上つぶし”の秘策である。
この例で知られたのが巨人時代の松井秀喜への策。阪神の野村克也監督が起用したのが左腕の遠山奨志だった。ピンチで松井が打席に立つと、先発投手を他のポジションに一時避難させ、遠山が出てきて松井を抑えると、先発が再びマウンドへ、というさい配を振るった。松井は遠山を苦手としていたからである。
ホームラン王の対策といえば、松井の先輩、世界の王には大洋の平岡一郎が有名だった。松井も王も左だったから左投手を送ってきた。
さて、村上である。松井や王と違い、村上は左投手の方をよく打っているのに対し右投手にてこずっている。
野村が南海のプレーイングマネジャー時代、阪急の4番打者だったホームランバッターの長池徳二にこんな策を投手陣に指示した。本塁打は打たれるな、ヒットならOKと。打たせるな、というと投手にプレッシャーがかかるからで、これで投手は気が楽になったとそうである。
村上対策のいいヒントだろう。村上にすれば、今シーズンは昨年と比較されながら打席に立つことになるから、ホームラン数が伸びなければ焦りも出て調子を落とすこともありうる。
専門キラーの出現は大打者の証明でもある。村上のバッティングは1打席たりとも見逃せない。
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