二刀流はなぜ難しい? 大谷翔平の活躍、大谷以外に二刀流に挑んでいる選手は?

2023-03-09
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Getty Images

3月8日(木)に開幕する第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には、野球日本代表「侍ジャパン」の大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)が初めて出場する。

ここでは大谷の代名詞としても使われることが多い「二刀流」について紹介する。

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大谷翔平の二刀流での活躍

プロ入り2年目でNPB初の10勝&10本塁打

大谷は花巻東高校時代、投手としては最速160キロ、打者としては高校通算56本塁打を放つなど投打で活躍。3年春のセンバツ(第84回選抜高等学校野球大会)では、大阪桐蔭高の藤浪晋太郎(現オークランド・アスレチックス)から本塁打を放っている。

高卒でのメジャーリーグ(MLB)挑戦を表明していたものの、2012年プロ野球ドラフトで北海道日本ハムファイターズが大谷を1位指名。当初は入団に難色を示していたが、当時の栗山英樹監督(現・侍ジャパン監督)とチームが、プロでは異例となる投手と打者の両方を継続する「二刀流」での育成プランを提示したことなどから、日本ハム入団が実現した。

プロ入りした大谷は1年目から開幕スタメン出場を果たすと、投手としては13試合に登板、61.2回を投げて3勝0敗、46奪三振、防御率4.23、打者としては77試合で打率.238(189打数45安打)、3本塁打、20打点の成績を残した。

2年目には投手として規定投球回に到達し11勝、打者としても10本塁打をマーク。同一シーズンに10勝&10本塁打を記録したのはNPB史上初のことだった。3年目の2015年には、最多勝(15勝)、最高勝率(.750)、最優秀防御率(2.24)のタイトルを獲得し、投手として大きく飛躍した。

2016年には投手として10勝、防御率1.86、打者として打率.322、22本塁打を放ってチームの日本一に貢献。MVPに加え、投手と指名打者でベストナインを受賞した。2017年には故障のため成績は落としたものの、オフにポスティングシステムを利用してMLBのロサンゼルス・エンゼルスへ移籍した。

アメリカでも二刀流を継続 リーグMVPに

エンゼルスでも投打の二刀流を継続し、1年目の2018年は新人王を獲得。しかし右肘の故障から投手としては4勝に止まり、オフに右肘の靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた。

投手としては登板できない時期もあった大谷だが、コンディションが整って迎えた2021年には、23試合で130.1回を投げて9勝2敗、156奪三振、防御率3.18をマーク。打者としても158試合で打率.257(537打数138安打)、46本塁打、100打点、26盗塁という圧倒的な成績を残し、ア・リーグMVPに輝いた。

2022年には投手として28試合に登板し、166回を投げて15勝9敗、219奪三振、防御率2.33。打者としても157試合に出場、打率.273(586打数160安打)、34本塁打、95打点をマーク。

メジャーでは自身初となる二桁勝利と規定投球回を達成し、現行のルールとなった1900年以降の近代野球においては、初となる規定投球回&規定打席のダブル達成を果たした。また同一シーズンでの10勝&10本塁打は、MLBではベーブ・ルース以来104年ぶりの偉業だ。

なぜ二刀流は難しいのか

プロ野球とは、アマチュア時代に「エースで4番」だったような選手たちの集まりである。多くの選手が、高校時代には投打の二刀流で活躍を見せている。

しかし大谷がNPB、MLBで成功するまで、二刀流選手はほとんどいなかった。投手から野手へ転向して活躍する選手や、打力のある投手などはいても、シーズンを通して投手と打者で活躍を見せたのは大谷が初めてと言える。ではなぜ今まで大谷のような選手が現れなかったのだろうか。

まずは、投手と打者の両方でプロ野球の一軍レベルに到達できること自体が稀なことが挙げられる。当たり前のことだが、どちらか一方だけでもプロ野球で活躍するのは難しい。それを投打の両方でやってのけるのは、単純な実力だけでも並大抵のことではない。

さらに体力面での壁がある。プロ野球の投手は、先発投手なら1回登板したら中6日程度空けて次回登板に備えるのが一般的だ。しかし二刀流で出場するには、その間も試合に出続けなければならない。

登板後の疲労のリカバリーが難しくなる上、故障のリスクも大きくなる。通常でも疲労から調子を落とす選手がいることも珍しくない中、投打でコンディションを維持することが大きな課題となる。

投手なら試合終盤の打席では疲労を抑えるためにバットを振らないことも少なくないが、大谷は全ての打席で全力を尽くし、さらにはその積極的な走塁で度々ファンを沸かせている。

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今でこそ大谷が走攻守でハイレベルなパフォーマンスを見せてもそれほどの驚きはなくなったが、当初は球界OBなどからも賛否両論の声が上がっていた。

長嶋茂雄氏や故・野村克也氏らは投手に、イチロー氏などは打者に専念すべきとの見解を示していた。ケガのリスクや「二兎を追うもの一兎をも得ず」とならないかを懸念してのものだったが、大谷の活躍を見て肯定派となっている。

また、王貞治氏や落合博満氏、松井秀喜氏のように、大谷の挑戦に対して肯定的だったOBもいた。

大谷以外の二刀流選手は?

大谷のほかに二刀流に挑戦している主な選手を紹介する。

戸根千明(広島東洋カープ)

今シーズンから広島東洋カープに移籍した戸根千明は、読売ジャイアンツ時代の2020年、ファームで二刀流に挑戦。その年限りで再び投手に専念したものの、翌年にはリリーフ登板後の打席でプロ初安打となるタイムリーを放っている。

桑原秀侍(福岡ソフトバンクホークス)

2020年育成ドラフト3位で福岡ソフトバンクホークスに投手として入団した桑原秀侍は、1年目の秋から打者にも挑戦している。

上原健太(北海道日本ハムファイターズ)

日本ハムの上原健太は、2022年から二刀流に挑戦。打者としてはほとんど出場がなく1安打のみだったが、シーズン最後まで練習を継続。投手としては安定感が増し、25試合で防御率3.12の好成績を残した。

矢澤宏太(北海道日本ハムファイターズ)

その日本ハムに2022年ドラフト1位で入団した矢澤宏太は、藤嶺藤沢高時代から二刀流として活躍。日本体育大学でも二刀流を継続し、ドラフト1位指名を勝ち取った。新庄剛志監督や稲葉篤紀GMは「オンリーワン、矢澤流を目指す」と話しており、2023年にどのような活躍を見せるのか楽しみな選手だ。

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また、大谷が活躍したことにより、MLBでも二刀流に挑戦する選手が増えてきた。以下はMLBの二刀流選手だ。

マイケル・ロレンゼン(デトロイト・タイガース)

シンシナティ・レッズに在籍していたマイケル・ロレンゼン(現デトロイト・タイガース)は、プロ入り当初から二刀流を希望するも、球団が拒否。しかし大谷の出現によって打者挑戦の道が拓かれ、2018年には4本塁打を放った。2022年はエンゼルスで大谷とともにプレーした。

レックス・ベルデューゴ(ボストン・レッドソックス)

2年連続で二桁本塁打を放っているボストン・レッドソックスのアレックス・ベルデューゴは、2023年の二刀流挑戦を表明している。

レジー・クロフォード(サンフランシスコ・ジャイアンツ

2022年ドラフト1巡目(全体30番目)でサンフランシスコ・ジャイアンツに指名されたレジー・クロフォードは「Two-way Player」(二刀流選手)として指名を受けた。

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過去に二刀流で活躍した選手は?

【プロ野球】永久欠番選手一覧」でも紹介したが、かつては投打の両方で活躍する選手がプロ野球にもいた。

故・服部受弘は6度の二桁勝利をあげる投手として活躍しながら、同一シーズンではないものの本塁打王(8本)にも輝いている。

故・西沢道夫は投手としてシーズン20勝をマークしたが、兵役で右肩を痛めて打者へ転向。首位打者、本塁打王、打点王に輝いた。ただし、両者はいずれもドラフト制以前に活躍した選手だ。


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