【WBC 2023】先発投手陣 戦力ランキング:日本代表 侍ジャパンの順位は?

2023-03-02
読了時間 約4分
(Takuma Oikawa/The Sporting News)

2023年3月、野球世界一を決める国際大会、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(2023 World Baseball Classic™|以下WBC)が開催される。

ここでは、本誌『スポーティングニュース』のライアン・フェイガン記者が各国の先発投手陣の戦力状況とローテーションを分析し、トップ7をランキングする。

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ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)では先発投手ローテーションの層がどれほど厚いかが重要な要素になる。

その理由は今さら説明するまでもなく明らかだろう。そのことは前回、2017年に行われたWBC(2020年に予定されていた大会は新型コロナウイルスの影響で延期された)ではっきりと浮き彫りになった。

アメリカ代表チームが初めてWBCタイトルを獲得した大会だが、そこで大きな役割を果たしたのは、決勝戦でプエルトリコを6回1被安打無失点で抑え込んだマーカス・ストローマンのパフォーマンスだったのだ。

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しかし、インパクトを残したアメリカ代表チームの先発投手がストローマンだけであったわけではない。ダニー・ダフィーは2試合に先発登板し、計8イニングで1失点しか許さなかった。クリス・アーチャーは1試合に先発登板し、4イニングを無安打無失点に抑えた。ドリュー・スマイリーも1試合に先発登板し、4イニング2/3を投げ、被安打1本、自責点0だった。タナー・ロアークは大会前半にリリーフ登板でやや苦しんだが、先発登板した準決勝の対日本戦では4イニング無失点で勝利に貢献した。

そうしたことを念頭に入れて、2023年のWBCに登場すると思われる最高の先発投手ローテーションを見ていこう。

もっとも、投手たちのパフォーマンスを予測することは難しい。ほとんどの投手は3月中旬の時期に重要な場面で登板することには慣れていないからだ。しかし、彼らの過去の成績から占うと下記のようになる。

7位 プエルトリコ

先発投手ローテーション要員:ホセ・ベリオス、マーカス・ストローマン、ヘクター・サンティアゴ、デレック・ロドリゲス

格付けの理由: 個人的には、ベリオスには3月15日のプエルトリコ vs. ドミニカ共和国に先発登板してほしいと思っている。チームメイトであるブラディミール・ゲレーロ・ジュニアと直接対決することができるからだ。ストローマンは2017年WBCにはアメリカ代表として出場し、3試合の先発登板で防御率2.35の成績を残した。皮肉なことに、2017年の決勝戦でストローマンが素晴らしい投球をしたときの対戦相手がプエルトリコだった。今年はそのプエルトリコ代表としてWBCに出場する。しかし、ベリオスとストローマン以外の顔ぶれはこれより上位に格付けするには不足している。

6位 韓国

先発投手ローテーション要員:金廣鉉(キム・グァンヒョン)、李義理(イ・ウィリ)、蘇珩準(ソ・ヒョンジュン)、郭彬(グァク・ピン)、具昌模(ク・チャンモ)

格付けの理由:金はMLBデビュー後の2シーズンで145イニング2/3Wを投げ、防御率2.97の安定した成績を残した。そして昨シーズンはKBO(韓国プロ野球)に復帰し、28先発登板で防御率2.13だった。もうひとりのサウスポーである具も昨シーズンに19先発登板で防御率2.10、9イニング平均奪三振数8.7である。李(20歳)、蘇(21歳)、そして郭(23歳)という若い投手たちもKBOですでに2シーズンの経験がある。

5位 メキシコ

先発投手ローテーション要員:フリオ・ウリアス、ホセ・ウルキディ、パトリック・サンドバル、タイフアン・ウォーカー、エイドリアン・マルティネス

格付けの理由:「なんて凄い投手陣だ。5位より上に格付けするべきだろう」と思うかもしれない。私もそう思う。しかし、一体どのチームを下げるべきなのだろうか。今回のWBCでは投手陣が全体的にとてもレベルが高いのだ。MLB以外の打者たちにとっては厳しい大会になることはほぼ間違いがないと気の毒にさえ感じる。

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4位 アメリカ

先発投手ローテーション要員:クレイトン・カーショウ、マイルズ・マイコラス、ブレイディ・シンガー、ランス・リン、アダム・ウェインライト、メリル・ケリー、ニック・マルティネス

格付けの理由:もし162試合制シーズンの先発投手ローテーションを選ぶとしたら、アメリカ代表チームのそれは最高に格付けされるだろう。しかし、WBCのような短期決戦ではやや事情が変わってくる。そこではいかに空振りを奪うかが大きな要素になるが、このグループはその点ではトップ3チームに比べるとやや劣る。

カーショウは代表入りを辞退

3位 ベネズエラ

先発投手ローテーション要員:パブロ・ロペス、マーティン・ペレス、エドゥアルド・ロドリゲス、ルイス・ガルシア、 ヘルマン・マルケス、カルロス・ヘルナンデス 

格付けの理由:ベネズエラはそれぞれのチームで先発投手ローテーションの1番手かそれに近い役割を務める投手を4人も抱えている。ガルシアはそうではないが、それは所属するヒューストン・アストロズの投手陣の層が極めて厚いからに過ぎない。

ガルシアはここまでのキャリアで57試合に先発登板し、防御率は3.57だ。昨年10月のアメリカン・リーグ・ディビジョナル・シリーズでシアトル・マリナーズを5イニング無失点に抑えたところを見ると、大舞台にも強いようだ。ロペスはミネソタ・ツインズの新しいエースとして大物入りで移籍入団したばかりだ。ペレスは昨シーズン、テキサス・レンジャーズで素晴らしい成績を残した。デトロイト・タイガースのロドリゲスは数か月を故障者リスト入りしたものの、シーズン終盤は力強い存在感を示した。そしてマルケスはコロラド・ロッキーズで先発投手としてのキャリアは7年を数え、4.01 FIPという立派な通算成績を残している。

2位 ドミニカ共和国

先発投手ローテーション要員:サンディ・アルカンタラ、クリスチャン・ハビエル、ジョニー・クエト、ロアンシー・コントレラス

格付けの理由: この先発投手ローテーションはナショナル・リーグのサイヤング受賞者(アルカンタラ)で始まり、昨年のワールドシリーズで6イニング無安打無失点の好投を演じた投手(ハビエル)と続く。それだけでも凄いことであるが、まだまだある。ベテランのクエトは昨シーズンもシカゴ・ホワイトソックスで健在ぶりを見せつけた。2023年はマイアミ・マーリンズでアルカンタラのチームメイトになる。そしてコントレラスはピッツバーグ・パイレーツに所属しているというだけの理由で一般の注目度は低いが、昨シーズン18試合に先発登板し、防御率3.81の成績を残した。

ここではブルペンは格付けの要素には入れていない。それでもドミニカ共和国の救援投手たちについては語っておくべきだろう。なぜなら、このチームの先発投手はだれも5イニング以上を投げる必要がないのだ。なにしろ、ブライアン・アブレイユ、カミロ・ドバル、ラファエル・モンテロ、ヘネシス・カブレラ、ディエゴ・カスティーヨ、カルロス・エステベス、イーミ・ガルシア、ホセ・ルクラーク、ヘクター・ネリス、そしてグレゴリー・ソトが控えているのだから。もはや不公平感さえ漂うブルペン陣容である。

1位 日本

先発投手ローテーション要員:大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸、佐々木朗希、今永昇太

格付けの理由:大谷翔平がWBCでどのように起用されるかについては明らかではない。どうやらロサンゼルス・エンゼルスからは制限はなにもついていないようだ。クローザー役を務めるという噂もあるが、そうすると同時に指名打者として出場できなくなるかもしれない。7回や8回に走者として塁に出てしまうと、ブルペンで投球練習をすることが困難になるからだ。そうなると、1試合か2試合に先発登板することが合理的のようだ。

たとえ大谷が一度も先発登板しないことになったとしても、日本の先発ローテーションは恐るべきものだ。知っての通り、ダルビッシュは大ベテランだが、2009年に初出場して以来、WBCには並々ならぬ熱意を見せている。佐々木については以前も紹介した。この恐るべき21歳はまさに無敵だ。

そして山本はひょっとすると日本最高の先発投手かもしれない。2021年は26先発登板で防御率1.39、昨シーズンは26先発登板で防御率1.68の驚異的な成績を残した山本はまだ24歳である。さらに、サウスポーの今永は24先発登板で防御率2.04である。日本は2006年と2009年にWBC優勝をはたした。2013年と2017年は3位で終わった。この先発ローテーションは日本が王座奪回を図るには十分すぎるほどである。

原文: 2023 World Baseball Classic: Ranking the top seven pitching rotations
翻訳:角谷剛

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