世界陸上ブダペスト2023 種目別日程・放送予定・見どころ|競歩・山西利和、やり投・北口榛花、100m・サニブラウン、110mハードル・泉谷駿介らに注目

2023-08-16
読了時間 約12分
(Jiji Press)

来年のパリ五輪の前哨戦となる第19回世界陸上競技選手権(以下、世界陸上)が2023年8月19日(土)から27日(日)までの9日間、ハンガリー・ブダペストにて開催される。

世界陸上は2年に1度の周期(オリンピックの前後年)に開催されるオリンピックと並ぶ陸上界のビッグイベントだが、新型コロナウイルスの影響により昨年のオレゴン大会(アメリカ)が1年延期開催となったため、今回は2年連続での開催となる。

ここでは大会及び種目別の日程、放送予定(テレビ中継・インターネット配信)、大会の見どころ等を紹介する。

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世界陸上ブダペスト2023大会概要

  • 大会名称:第19回世界陸上競技選手権大会(世界陸上2023ブダペスト/World Athletics Championships - Budapest 23)
  • 大会日程:2023年8月19日(土)〜27日(日)
  • 会場:ナショナル・アスレティクス・センター(ハンガリー・ブダペスト)

放送予定(テレビ中継・インターネット配信)

世界陸上2023は、テレビ地上波ではTBS系列、BS放送ではBS-TBSで連日放映される予定だ。またインターネット配信は、全種目の決勝を独占で完全ライブ配信するU-NEXT(ユーネクスト)、TVer(ティーバー)で予定されている。

DAZN(ダゾーン)、ABEMA(アベマ)、Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)、SPOTV NOW(スポティービーナウ)といったスポーツ配信実績のあるサービスでの配信予定はない。

放送・配信チャンネル

※試合開催・放送予定は主催者・放送局の都合により変更になる場合があります。最新情報は各公式サイト等をご確認ください。

種目別日程

※日時は日本時間表記。日本との時差は-7時間(例:東京19日16時=ブダペスト19日9時)

大会1日目:8月19日(土)

モーニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
15:50 男子 20km競歩 決勝
17:30 男子 砲丸投 予選A,B組
17:35 女子 100mハードル 七種競技
18:05 混合 4 x 400mリレー 予選
18:35 男子 3000m障害物 予選
18:45 女子 走高跳 七種競技
19:00 男子 ハンマー投 予選
19:25 女子 走幅跳 予選
19:35 男子 100m 予備予選
20:15 女子 1500m 予選
20:40 男子 ハンマー投 予選

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
20日2:02 男子 1500m 予選
20日2:05 女子 砲丸投 七種競技
20日2:10 男子 円盤投 予選B組
20日2:35 男子 三段跳 予選A,B組
20日2:43 男子 100m 予選
20日3:30 女子 200m 七種競技
20日3:35 男子 砲丸投 決勝
20日3:40 男子 円盤投 予選B組
20日3:55 女子 10000m 決勝
20日4:47 混合 4x400mリレー 決勝

大会2日目:8月20日(日)

モーニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
14:15 女子 20km競歩 決勝
16:00 女子 円盤投 予選A組
16:35 女子 400m 予選
16:50 女子 走幅跳 七種競技
17:25 男子 400m 予選
17:30 女子 円盤投 予選B組
17:35 男子 走高跳 予選A,B組
18:25 男子 400mハードル 予選
19:00 女子 やり投 七種競技A組
19:10 女子 100m 予選
20:05 男子 110mハードル 予選
20:05 女子 やり投 七種競技B組

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
23:35 男子 100m 準決勝
23:55 女子 走幅跳 決勝
21日0:05 女子 1500m 準決勝
21日0:35 男子 1500m 準決勝
21日0:50 男子 ハンマー投 決勝
21日1:00 女子 800m 七種競技
21日1:25 男子 10000m 決勝
21日2:10 男子 100m 決勝

大会3日目:8月21日(月)

モーニングセッション

なし

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
22日1:40 女子 棒高跳 予選A,B組
22日1:50 女子 400mハードル 予選
22日2:35 男子 400mハードル 準決勝
22日2:40 男子 三段跳 決勝
22日3:05 男子 110mハードル 準決勝
22日3:30 男子 円盤投 決勝
22日3:35 女子 100m 準決勝
22日4:10 女子 400m 準決勝
22日4:40 男子 110mハードル 決勝
22日4:50 女子 100m 決勝

大会4日目:8月22日(火)

モーニングセッション

なし

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
23日1:40 女子 100mハードル 予選
23日2:20 男子 800m 予選
23日2:55 男子 走高跳 決勝
23日3:20 女子 円盤投 決勝
23日3:25 女子 400mハードル 準決勝
23日4:00 男子 400m 準決勝
23日4:30 女子 1500m 決勝
23日4:42 男子 3000m障害物 決勝

大会5日目:8月23日(水)

モーニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
17:05 女子 800m 予選
17:15 男子 棒高跳 予選A,B組
17:20 女子 やり投 予選A組
18:10 女子 5000m 予選
18:15 男子 走幅跳 予選A,B組
18:55 女子 やり投 予選B組
19:05 女子 200m 予選
19:50 男子 200m 予選

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
24日2:00 女子 ハンマー投 予選A組
24日2:10 女子 三段跳 予選A,B組
24日2:30 女子 棒高跳 決勝
24日2:45 女子 3000m障害物 予選
24日3:35 女子 ハンマー投 予選B組
24日3:40 女子 100mハードル 準決勝
24日4:15 男子 1500m 決勝
24日4:35 女子 400m 決勝
24日4:50 男子 400mハードル 決勝

大会6日目:8月24日(木)

モーニングセッション

時間 性別 種目ラウンド ラウンド
14:00 男子 35km競歩 決勝
14:00 女子 35km競歩 決勝

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
25日2:00 男子 5000m 予選
25日2:30 男子 走幅跳 決勝
25日2:45 女子 200m 準決勝
25日3:15 女子 ハンマー投 決勝
25日3:20 男子 200m 準決勝
25日3:50 男子 800m 準決勝
25日4:25 女子 100mハードル 決勝
25日4:35 男子 400m 決勝
25日4:50 女子 400mハードル 決勝

大会7日目:8月25日(金)

モーニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
17:05 男子 100m 十種競技
17:10 男子 やり投 予選A組
17:20 女子 走高跳 予選A,B組
17:55 男子 走幅跳 十種競技
18:45 男子 やり投 予選B組
19:20 男子 砲丸投 十種競技

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
26日1:30 男子 走高跳 十種競技
26日2:30 男子 4 x 100mリレー 予選
26日2:35 女子 三段跳 決勝
26日3:00 女子 4 x 100mリレー 予選
26日3:20 女子 やり投 決勝
26日3:25 女子 800m 準決勝
26日4:05 男子 400m 十種競技
26日4:40 女子 200m 決勝
26日4:50 男子 200m 決勝

大会8日目:8月26日(土)

モーニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
14:00 女子 マラソン 決勝
17:05 男子 110mハードル 十種競技
17:25 女子 砲丸投A,B組 予選
18:00 男子 円盤投 十種競技A組
19:05 男子 円盤投 十種競技B組
21:00 男子 棒高跳 十種競技A、B組

イブニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
27日2:05 男子 やり投 十種競技A組
27日2:25 男子 棒高跳 決勝
27日2:30 男子 4 x 400mリレー 予選
27日2:55 女子 4 x 400mリレー 予選
27日3:10 男子 やり投 十種競技B組
27日3:15 女子 砲丸投 決勝
27日3:30 男子 800m 決勝
27日3:50 女子 5000m 決勝
27日4:25 男子 1500m 十種競技
27日4:40 女子 4 x 100mリレー 決勝
27日4:50 男子 4 x 100mリレー 決勝

大会9日目(最終日):8月27日(日)

モーニングセッション

時間 性別 種目 ラウンド
14:00 男子 マラソン 決勝

イブニングセッション

時間 性別 種目ラウンド ラウンド
28日3:05 女子 走高跳 決勝
28日3:10 男子 5000m 決勝
28日3:20 男子 やり投 決勝
28日3:45 女子 800m 決勝
28日4:10 女子 3000m障害物 決勝
28日4:37 男子 4 x 400mリレー 決勝
28日4:47 女子 4 x 400mリレー 決勝

世界陸上2023の見どころ

優勝候補は20km競歩・山西利和とやり投・北口榛花

今回の日本代表は男子48名、女子28名の合計76名という大所帯の選手団となったが、それだけ世界陸連の出場基準を満たす選手が増えた証左でもある。世界陸上最多出場回数は男子が5回で4選手(100mのサニブラウン アブデルハキーム/東レ、200mの飯塚翔太 /ミズノ、400mハードルの岸本鷹幸/富士通、20km競歩の高橋英輝/富士通)、女子は35km競歩の渕瀬真寿美(建装工業)の6回となり、初出場は男子18名、女子13名の計31名を数える。

メダル争いに絡む可能性が高いのは、まずは今や世界トップの選手層を誇る男子競歩勢。20kmでは大会3連覇を狙う山西利和(愛知製鋼)、昨年のオレゴン大会では山西に次ぐ2位に入った池田向希(旭化成)、35kmでは昨年はフィニッシュテープ手前まで優勝争いを演じて2位となった川野将虎(旭化成)ら強力なウォーカーが各距離で牽引する。

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女子では、昨年の世界陸上で史上初めて女子の投てき種目のメダリスト(銅)となったやり投・北口榛花(JAL)だ。エントリーリストでは今季マークした日本新記録の67m04が世界ランク1位となっており、優勝候補としてブダペストに乗り込む。

他では110mハードル・泉谷駿介(住友電工)が今季、絶好調。6月初旬の日本選手権で13秒04の日本新記録をマークすると、6月30日には世界の強豪が集うシリーズ制競技会・ダイヤモンドリーグ(DL)にローザンヌ大会で初出場すると日本人初のDLトラック種目優勝を飾り、7月23日のDLロンドン大会でも13秒06とハイレベルな記録で僅差の2位に入り、度肝を抜いた。エントリーリストにおける世界ランクは5位、DLでの経験も積み、満を持して表彰台を狙う。

また、東京五輪7位入賞から着実に世界で戦う経験を積み重ねている三浦龍司(順天堂大学)も上位を狙える位置を維持。日本選手権直後に出場した6月9日のDLパリ大会では、自らの日本記録を2年ぶりに0秒01更新する8分09秒91の走りで2位に入るなど、存在感を見せており、昨年の世界陸上で予選落ちとなった悔しさを晴らすべく、今大会に向かってきた。

個人、リレーともに楽しみなスプリント勢

最速の称号をかけたスプリンター勢も楽しみだ。男子では昨年のオレゴン大会で世界陸上では日本人史上初の100mファイナリストとなり、今大会はさらに上を目指すサニブラウン・アブデルハキーム(東レ)のみならず、昨年100mで予選突破を果たし今年の日本選手権100mを制した坂井隆一郎(大阪ガス)、今季さらなる成長曲線を描き100m代表の座を掴んだ柳田大輝(東洋大学)、200mで初代表入りを果たした鵜澤飛羽(筑波大学)、女子では君嶋愛梨沙(土木管理総合)が2015年の福島千里以来、100mに出場する。

リレー種目では2大会ぶり3度目のメダル獲得を目指す男子4×100mリレー、昨年のオレゴン大会で4位入賞とメダルにあと一歩と迫った男子4×400mリレー共に大きな注目が集まる。4×100mリレーは、7月23日のDLロンドン大会で坂井、柳田、小池祐貴(住友電工)、上山紘輝(住友電工)の走順で37秒80という、今季の世界ランク1位タイの好タイムをマーク。世界陸上本番での起用法はその時の選手の状況によるが、サニブラウン抜きでも高いレベルの走りを体現できることを証明している。

また、4×400mリレーでも、400mの個人種目に出場する佐藤拳太郎(富士通)、佐藤風雅(ミズノ)、中島佑気ジョセフ(東洋大学)ら主力メンバーは今年自己ベストを更新し波に乗っている。大会の「トリ」を飾る男子種目ゆえに、国力の象徴とも見られるため、貪欲に上を目指す走りを見せたいところだ。

女子走幅跳の秦は初出場で世界を驚かせるか?

世界大会の実績組では、昨年のオレゴン大会男子走高跳で史上初の8位入賞を果たした真野友博(九電工)、女子では史上最多の3種目出場を果たし今年は1500m、5000mで出場する田中希実(New Balance)、マラソンでは昨年女子9位の松田瑞生(ダイハツ)らが一つでも上の順位を狙う力を備えている。

初出場の中で「一撃」で世界を驚かせる潜在力を持っているのは女子走幅跳の秦澄美鈴(シバタ工業)か。7月中旬に行われたアジア選手権(タイ・バンコク)では17年ぶりの日本記録更新となる6m97のビッグジャンプを見せた。今季の世界ランクでも堂々7位タイに位置しており、状態良く臨めば、大舞台で世界を驚かせる可能性もある。

棒高跳・デュプランティスら注目の世界の超人たち

世界の頂上決戦にはどの種目にも「超人」たちが存在するが、ここでは今年、すでに世界新記録を樹立してブダペストに乗り込む「超人中の超人」を中心に紹介する。

筆頭はなんと言っても男子棒高跳のアーマンド・デュプランティス(スウェーデン)だ。アメリカ生まれアメリカ育ちの23歳。棒高跳の選手だった父の下、幼少期から競技に慣れ親しみ、若くして世界のトップ選手へと成長してきた。東京五輪では2位以下を寄せ付けずに金メダルを手にすると、昨年のオレゴン世界陸上は世界新で優勝。今年は室内シーズンの2月に6m22をクリアして自身6度目となる世界記録を更新と、全く留まるところを知らない。2大会連続での優勝&世界新記録が最も期待できる選手といえる。

デュプランティス以外で今年、世界陸上実施種目で世界新記録をマークしているのは5名。男子砲丸投で五輪2連覇中、昨年の世界陸上を世界新で制したライアン・クルーザー(アメリカ)は2度の更新(23m56)。1500mで五輪2連覇中のフェイス・キピエゴン(ケニア)は6月に女子1500m(3分49秒11)&5000m(14分05秒20)の2種目で世界新記録を塗り替え、ラメチャ・ギルマ(エチオピア)は6月9日のDLパリ大会男子3000m障害物で19年ぶりの更新となる7分52秒11をマークしている。

女子35km競歩では、昨年の世界陸上20km・35km競歩二冠のキンベルリ・ガルシア・レオン(ペルー)が3月に2時間37分44秒の世界新記録をマークすると、5月にはマリア・ペレス(スペイン)が2時間37分15秒で歩き、ガルシア・レオンの記録を更新。彼らは皆、世界陸上にエントリーしているので、見逃し厳禁である。

短距離では男子100m・200mの二冠、得意の200mでは19秒10の目標タイムを掲げ、ウサイン・ボルトの持つ世界記録(19秒19)更新に意欲を見せるノア・ライルズ(アメリカ)、女子では昨年100m優勝のベテラン、シェリー=アン・フレイザー=プライスと200m優勝のシェリカ・ジャクソンらジャマイカ勢から目が離せない。