日本陸上競技連盟(日本陸連)の年間表彰式『アスレティックス・アワード 2022』が12月15日、東京都内で行われ、アスリート・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)には7月の第18回世界陸上競技選手権大会 OREGON2022(オレゴン世界選手権)男子20km競歩で大会2連覇を達成した山西利和(愛知製鋼)、優秀選手には男子35km競歩の川野将虎(旭化成)、女子やり投の北口榛花(JAL)、男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(Tumbleweed TC)の3名が選出された(川野、サニブラウンは都合により欠席)。
今回で16回目を迎えた表彰式では、各賞の発表、夏のオレゴン世界選手権の入賞者(メダル4、入賞5)への報奨金授与、日本グランプリシリーズの年度チャンピオンの発表も行われた。
以下、主な受賞選手・人物・団体の2022年の主要成績や選出理由と、それぞれの受賞コメントをまとめる。
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アスリート・オブ・ザ・イヤー(MVP)
山西利和(愛知製鋼)
【今季の実績】オレゴン世界選手権男子20km競歩で金メダルを獲得。日本選手団唯一の優勝で、前回の2019年ドーハ大会に続く大会2連覇を達成した。
「大変光栄に思います。昨年の東京五輪で3位に終わったことがすごく悔しかったので、金メダルに達することのできなかった自分と向き合ってきた1年でした。今年、そこに到達できたことはよかったですが、オリンピックの悔しさはまだ残っているので、来年の世界選手権(2023年ブダペスト大会)、パリ五輪で勝ち続けられる選手になりたい。勝ち負けも大切ですが、自分の枠を広げながら、いろんな色を散りばめ、自分の陸上競技を見せることができればと思います」
優秀選手賞
川野将虎(旭化成)
【今季の実績】オレゴン世界選手権男子35km競歩で銀メダルを獲得。
「世界選手権では自身初の銀メダルを獲得できました。1月には極度の貧血に見舞われ、一時は出場すら危ぶまれていましたが、周囲の方々の協力を得て、思っていた以上の成績を残すことができました。来年の世界選手権、2年後のパリ五輪、3年後の東京世界選手権に向かって、より成熟した選手になれるよう、頑張っていきたいです」
北口榛花(JAL)
【今季の実績】オレゴン世界選手権女子やり投で銅メダルを獲得。日本女子のフィールド種目ではオリンピック、世界選手権を通じて初のメダリストに。世界最高峰のダイヤモンドリーグではパリ大会・シレジア大会で優勝。年間王者を決めるダイヤモンドリーグファイナルでも3位に入った。
「今年は世界選手権での銅メダル、ダイヤモンドリーグも転戦できて、陸上以外のもう一つの夢である世界旅行も少しできたかなと思います。トレーナーやコーチ、自分の家族など、自分を支えてくれた方々に感謝しています。本当の世界一は金メダルだけじゃなくて世界記録もあるので、そこを目指して進んでいきたいと思います」
サニブラウン・アブデル・ハキーム(Tumbleweed TC)
【今季の実績】オレゴン世界選手権男子100mで日本選手初入賞となる7位入賞。オリンピックを含めると、1932年ロサンゼルス五輪で6位に入った吉岡隆徳以来、実に90年ぶりの快挙だった。
「日頃からサポートしてくれる方々がいなければ、この賞をいただくことはできなかったと思います。今季は世界選手権の決勝に出場したり、ダイヤモンドリーグで走れたので、収穫のある1年でした。しっかり練習を積んで、2年後のオリンピックにつなげていきたいと思います」
新人賞
■東京運動記者クラブ選出 ※年齢基準なし
坂井隆一郎(大阪ガス)
【今季の実績】男子100mで日本歴代7位の10秒02をマーク。オレゴン世界選手権で準決勝に進出。
「2022年は飛躍の年になりました。挑んだ世界選手権は100mで準決勝敗退、リレーは予選落ちでしたが、得るものも多かったです。この経験をもとに頑張っていきたい」
福部真子(日本建設工業)
【今季の実績】女子100mハードルで日本選手権初優勝。オレゴン世界選手権で準決勝に進出。また、2度の日本新記録更新(オレゴン世界選手権:12秒82、全日本実業団:12秒73)。
「初めて世界と戦って、すごく差を感じました。その悔しさが2度の日本新につながったと思います。来年以降も世界大会続くので頑張っていきます」
■日本陸上競技連盟選出 ※2022年12月31日時点で20歳未満の競技者
栁田大輝(東洋大学、19歳)
【今季の実績】オレゴン世界選手権男子4×100mリレー代表。カリU20世界選手権男子100m6位入賞&男子4×100mリレーで金メダルを獲得。
「同世代の選手も結果を残す中で、自分がこのような賞をいただいて恐縮です。来年は個人種目でも世界で戦って、来年はアスリートオブザイヤーをもらえるよう頑張りたいです」
大山藍(鹿児島女子高2年・鹿児島、17歳)
【今季の実績】カリU20世界選手権女子10000m競歩で銀メダルを獲得。女子5000m競歩でU18日本記録樹立。
「この場に立っていることは信じられないです。これまで苦労して心が折れそうなこともありましたが、頑張ってきてよかったと感じています」
特別賞
織田裕二、中井美穂
【選出理由】世界選手権中継番組のメインキャスターを1997年アテネ大会から2022年オレゴン大会までの25年、13大会連続で務め、陸上の認知度向上に貢献したため。
織田「長く続けるといいこともあるんだなと。まさかこのような賞をもらえるとは。自分は野球少年、その後テニスだったので、陸上は自分にとってトレーニングでした。それがこの仕事をやるうちに、沼にハマっていきました。シンプル・イズ・ディープ。私たちは去りますが、皆さん、頑張ってください」
中井「最初は、種目も多いし陸上競技は種目も、覚えられないくらい多かった。それでも選手の皆さん、きちんと質問に答えていただいてくれたし、我々も応援してきました。これからも応援し続けていきたいと思います」
2022日本グランプリシリーズ シリーズチャンピオン
男子:村竹ラシッド(順天堂大学)
【成績】110mハードル シリーズポイント3569.0
「自分が今シーズン、まさかグランプリシリーズのチャンピオンになれると思わなかったので、うれしいです。来年も多くのグランプリシリーズが行われるので、そこで頑張って世界選手権を目指したいと思います」
女子:田中 希実(豊田自動織機)
【成績】5000m シリーズポイント3492.0
「今年度は、自分の中では納得のいかない成績が続いていましたが、一つひとつ真剣に取り組んできました。その結果、チャンピオンというを評価してもらったので、よかったです。来年の世界選手権、再来年のパリ五輪に向けて頑張っていきたいと思います」
日本陸連×SDG's「#LETSTHINK」 BEST THINKS賞
関西外語大学女子駅伝部
【選出理由】陸上競技を継続する女子競技者が少ない点に着目し、陸上に取り組む女子高校生にアンケートを実施して悩みや競技継続のイメージを明らかにしながら、実際に高校生と悩みや陸上を続ける魅力について意見交換する交流会を実施。
奈良マラソン実行委員会
【選出理由】給水で使用した紙コップが膨大な量の紙コップとなる点に着目し、紙コップメーカーと連携し、給水で使用したコップを翌年お大会会場で使用するトイレットペーパーにリサイクルする取り組みを実施。