第99回箱根駅伝(2023年1月2日・3日/東京箱根間往復大学駅伝競走)に出場する東京国際大学が12月10日、同校坂戸キャンパスにて共同会見を開き、大志田秀次監督、エースの丹所健、イェゴン・ヴィンセント(共に4年)らが来たる本戦に向けて抱負を語った。
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11月下旬から主力が復調の兆し
7シーズン前の2016年に初出場を果たして以来、今大会にはすでに6年連続7回目の出場、その上シード権を3年連続シード権獲得中と、強豪校としての地位を築いてきた東京国際大学。今年の4年生には、史上最強の留学生の呼び声が高いイェゴン・ヴィンセント、前回大会3区区間賞の日本人エース・丹所健、5月の関東インカレ2部5000m4位の山谷昌也らを擁し、総合優勝を目標に掲げてスタートした。しかし、主力3人は春先から秋まで、異なるタイミングで故障に見舞われ、なかなか足並みが揃わず。出雲駅伝、全日本大学駅伝には丹所のみが出場するも、3区5位、2区8位と本来の力を発揮しきれず、チームは8位、11位。ここまで今ひとつ存在感を発揮できない駅伝シーズンになっている。
しかし、箱根駅伝まで3週間の今、機運が上がり始めている。11月下旬に、当初から予定していた富津合宿の内容を「記録会に出ながら調整を図るもの」から「記録会に出ずに強化(距離を踏む)中心」に変更。その成果が12月に入るとチーム全体に表れると、主力も復調し始める。現状では、「ヴィンセントは80〜90%、山谷は70〜80%まで戻ってきている」(大志田監督)と安どの表情を見せ、箱根に向けて活気が出てきた。丹所は「今ひとつ調子が上がり切っていない」と不安を口にするものの、憧れ続けたエース区間・2区出走への熱い思いを支えに、準備を進めている。
「夏合宿は1年前とは違い、30km走を4回行うなど、質(スピード)のみならず、量的な部分も追求してき増田。前回は母校(湘南工大附高・神奈川)の前を通る3区で区間舗を獲得し、2区は自分が生まれ育った実家近く(神奈川県戸塚市)を通る、ずっと憧れ続けてきたコース。残り3週間、ヴィンセントも山谷も調子を上げているので、自分もしっかり調整してレース当日を迎えたい」と、前を向く。
カギを握る成長著しい2年生
また、4年生世代に次ぐ大きな武器となってきたのは2年生世代。6名がエントリーに名を連ねたように、1年次に出雲駅伝初優勝を経験した白井勇佑、1区候補の山谷が不在の中、出雲、全日本で1区を担った冨永昌輝らは箱根でも主要区間を担う可能性もある。ほか、大志田監督がその成長を認める村松敬哲、木村海斗も出走メンバー候補となる。
常に現実的な目標を選手に掲げ、チームを一歩一歩成長させてきた大志田監督。現在のチーム状況を見て、「総合優勝から往路優勝と総合3位以内」と目標を軌道修正したが、チーム全体のコンディションが上がり始めている今、まずは「選手が力を出し切れるように」準備することに注力していくという。
大志田監督は、区間配置について「残り3週間あるので選手の状態、全体のバランスを見ながら変更する可能性もある」と冷静な姿勢を崩していないが、重要視するのは「レースの流れをつくる前半2区間」であることに変わりはない。順調にいけば、1区から山谷、丹所、白井、ヴィンセント、そして「チーム記録の72分55秒」を想定している山上り・5区へつなぐ布陣が予想される。
ちなみに、ヴィンセントは1年次に3区、2年次に2区で区間新記録を樹立しており、万全の状態で4区に臨めば往路の中間3区間の歴史に自身の名を刻む可能性もある。もっとも、「選手の状況を見ながら、本人の意見とすり合わせつつ決める」(大志田監督)と言うように2区・ヴィンセントという選択肢もないわけではない。この辺りは、他の強豪校は気になる所だろう。
2011年の駅伝部創設以来、新たなディケイド(10年)の2年目のシーズンとなった東京国際大学。噛み合ったときの現チームの破壊力は、史上5校目の同一年度3冠を狙う駒澤大学、箱根2連覇を狙う青山学院大学ら上位候補校に引けを取らないだけに、その走りに注目だ。
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