『スポーティングニュース』(The Sporting News)は半世紀以上にわたり、その年のスポーツ界を代表する、傑出した活躍を見せた個人を表彰してきました。
当初「年間最優秀賞」として始まった賞は、のちに「年間最優秀スポーツマン賞」へと名称変更され、近年になって現在の「年間最優秀アスリート賞」となりました。
今年2023年のスポーティングニュース(TSN)年間最優秀アスリート賞には、アイオワ大のケイトリン・クラーク、ルイジアナ州立大のエンジェル・リースという大学バスケットボール女子のスター選手2名が選ばれました。
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1930年代から始まった野球関連、1940年代から始まったフットボール関連の各賞と比較すると、1968年に誕生したこの賞は、スポーティングニュースの歴史の中では比較的新しい賞と言えるものです。
TSN年間最優秀アスリート賞の歴史
スポーティングニュースがその年を代表する、傑出した活躍を見せた個人に贈るこの賞を始めたのは1968年、最初の受賞者はMLBデトロイト・タイガースのデニー・マクレイン投手でした。マクレインはこの年、31勝6敗の成績を残し、MLBでは1934年以来の30勝投手という偉業を成し遂げました。
賞が設立された当初は、受賞者には誰もが知っているような野球選手、バスケットボール選手、フットボール選手ばかりでなく、コミッショナーやコーチ、ゴルファー、オリンピック選手、競馬騎手といった人々もその名を連ねていました。
その後、2000年代半ばに入ると、実際に競技を行うアスリートへと選出対象者が絞り込まれ、コーチ、コミッショナー、エグゼクティブといった人々は選外となりました。
また、2008年からの3年間は、受賞者をプロアスリート、大学生アスリート、高校生アスリートの三部門に分けていた時期もありました。
2013年から2020年までの間は、メディアを取り巻く環境の変化もあり、この賞の表彰を取りやめていましたが、2021年の大谷翔平への授賞で再開されました。
TSN年間最優秀アスリート賞の投票者は誰?
他のスポーツ各賞がスポーツ界内部の選手やコーチ、エグゼクティブによって選ばれるのと異なり、TSN年間最優秀アスリート賞はスポーティングニュースのスタッフによって選出されます。
数週間にわたる複数回の投票の間には、何人もの候補者が検討されます。
過去には長い間、北米のスポーツに受賞者が限定されてきました。ですが、スポーティングニュースそのものが現在、複数の言語によって多くのエリアで展開されていることから、この賞もまたよりグローバルな候補者を対象とするようになりました。2022年にはサッカーのPSG(当時)/アルゼンチン代表のリオネル・メッシが受賞したのはその一例といえるでしょう。
TSN年間最優秀アスリート賞 歴代受賞者一覧
年度 | 受賞者 |
1968年 | デニー・マクレイン(MLBデトロイト・タイガース) |
1969年 | トム・シーバー(MLBニューヨーク・メッツ) |
1970年 | ジョン・ウッデン(NCAAバスケ カリフォルニア大ロサンゼルス校ヘッドコーチ) |
1971年 | リー・トレビノ(ゴルフ) |
1972年 | チャーリー・フィンリー(MLBオークランド・アスレチックス オーナー) |
1973年 | O.J.シンプソン(NFLバッファロー・ビルズ) |
1974年 | ルー・ブロック(MLBセントルイス・カージナルス) |
1975年 | アーチー・グリフィン(NCAAフットボール オハイオ州立大) |
1976年 | ラリー・オブライエン(NBAコミッショナー) |
1977年 | スティーブ・コーゼン(競馬騎手) |
1978年 | ロン・ギドリー(MLBニューヨーク・ヤンキース) |
1979年 | ウィリー・スタージェル(MLBピッツバーグ・パイレーツ) |
1980年 | ジョージ・ブレット(MLBカンザスシティ・ロイヤルズ) |
1981年 | ウェイン・グレツキー(NHLエドモントン・オイラーズ) |
1982年 | ホワイティ・ハーゾグ(MLBセントルイス・カージナルス監督) |
1983年 | ボウイ・クーン(MLBコミッショナー) |
1984年 | ピーター・ユベロス(ロサンゼルス五輪大会組織委員長) |
1985年 | ピート・ローズ(MLBシンシナティ・レッズ) |
1986年 | ラリー・バード(NBAボストン・セルティックス) |
1987年 | 受賞者なし |
1988年 | ジャッキー・ジョイナー=カーシー(陸上競技女子) |
1989年 | ジョー・モンタナ(NFLサンフランシスコ・49ers) |
1990年 | ノーラン・ライアン(MLBテキサス・レンジャーズ) |
1991年 | マイケル・ジョーダン(NBAシカゴ・ブルズ) |
1992年 | マイク・シャシェフスキー(NCAAバスケ デューク大ヘッドコーチ) |
1993年 | シト・ガストン(MLBトロント・ブルージェイズ監督) パット・ギリック(MLBトロント・ブルージェイズGM) |
1994年 | エミット・スミス(NFLダラス・カウボーイズ) |
1995年 | カル・リプケンJr.(MLBボルチモア・オリオールズ) |
1996年 | ジョー・トーレ(MLBニューヨーク・ヤンキース監督) |
1997年 | マーク・マグワイア(MLBセントルイス・カージナルス) |
1998年 | マーク・マグワイア(MLBセントルイス・カージナルス) サミー・ソーサ(MLBシカゴ・カブス) |
1999年 | ニューヨーク・ヤンキース(MLB球団) |
2000年 | マーシャル・フォーク(NFLセントルイス・ラムズ) カート・ワーナー(NFLセントルイス・ラムズ) |
2001年 | カート・シリング(MLBアリゾナ・ダイヤモンドバックス) |
2002年 | タイロン・ウィリンガム(NCAAフットボール ノートルダム大ヘッドコーチ) |
2003年 | ディック・バーミール(NFLセントルイス・ラムズ ヘッドコーチ) ジャック・マッキーオン(MLBフロリダ・マーリンズ監督) |
2004年 | トム・ブレイディ(NFLニューイングランド・ペイトリオッツ) |
2005年 | マット・レイナート(NCAAフットボール 南カリフォルニア大) |
2006年 | ラダ二アン・トムリンソン(NFLサンディエゴ・チャージャーズ) |
2007年 | トム・ブレイディ(NFLニューイングランド・ペイトリオッツ) |
2008年 | プロ:イーライ・マニング(NFLニューヨーク・ジャイアンツ) 大学生:ステフィン・カリー(NCAAバスケ デイビッドソン大) 高校生:マンタイ・テオ(フットボール ホノルル ・プアホウ高) |
2009年 | プロ:マリアノ・リベラ(MLBニューヨーク・ヤンキース) 大学生:ステフィン・カリー(NCAAバスケ デイビッドソン大) 高校生:ハリソン・バーンズ(バスケ エイムズ高) |
2010年 | プロ:ロイ・ハラデイ(MLBフィラデルフィア・フィリーズ) 大学生:カイル・シングラー(NCAAバスケ デューク大) 高校生:マイク・ベラミー(フットボール プンタ・ゴルダ・シャーロット高) |
2011年 | アーロン・ロジャース(NFLグリーンベイ・パッカーズ) |
2012年 | レブロン・ジェームズ(NBAマイアミ・ヒート) |
2013〜 2020年 |
表彰行われず |
2021年 | 大谷翔平(MLBアナハイム・エンゼルス) |
2022年 | リオネル・メッシ(サッカー PSG/アルゼンチン代表) |
2023年 | ケイトリン・クラーク(NCAAバスケ女子 アイオワ大) エンジェル・リース(NCAAバスケ女子 ルイジアナ州立大) |
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳:石山修二(スポーティングニュース日本版)