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ヴァージル・オルティス・ジュニアにとって、この試合はキャリアでもっとも厳しい戦いになるはずだった。
終わってみれば、いつものオルティスの試合と同じ結果だった。
3月20日(日本時間21日)、テキサス州フォートワースのディッキーズ・アリーナのメインイベントにおいて、オルティスはモーリス・フッカーを7ラウンド目でマットに沈め、戦績を17勝0敗17KOに伸ばした。
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フッカーは長年140パウンド(ジュニア・ウェルター級)で戦ってきた後に、この試合が初めての147パウンド(ウェルター級)での試合となった。戦前の大方の予想ではフッカーは22歳のオルティスがもつ粗削りなパワーに耐えられることを証明するだろうと思われていた。だが、オルティスが今まで戦ったボクサーとは次元の異なるパワーの持ち主であることをフッカーが思い知るまでにはたったの2ラウンドで十分だった。
開始のゴングが鳴った途端、オルティスとフッカーはリング中央で足を止め、まるでどちらがタフなファイターであるかを決めるかのような激しい打ち合いを演じた。どちらもKO狙いのパンチを応酬したが、オルティスのパンチの破壊力が上であることをまざまざと見せつけた。
フッカーはたびたびロープに追い込まれ、顔とボディーが大きく腫れあがった。オルティスが早々に試合を終わらせるかと思われたが、フッカーは4ラウンド目に変化を見せ、そこからはジャブと足を使って、オルティスとの距離を取る戦いにシフトした。だが地元テキサス出身で、「マイティー・モー」の異名を取るフッカーは強いハートの持ち主であることでも知られていた。6ラウンド目にはこの元WBOジュニア・ウェルター級チャンピオンは再び激しい打ち合いに応じた。フッカーは再三顔面へのパンチを浴びても立ち続けたが、オルティスのボディーへの攻撃は違うレベルにあった。
「フッカーが打たれ強くてパンチに耐えられることはよくわかった。彼は賢いけど、僕も自分が何をするべきかを知っていた。顔面で倒せないなら、ボディーを攻めるしかないのさ」とオルティスは言った。
6ラウンド目はフッカーのボディに重いフックを叩き込み続けたオルティスがフルマークで取った。この強烈な攻撃は効き始め、フッカーは再び後退を余儀なくされた。オルティスは攻撃の手を緩めず、さらにパンチを連打してフッカーからダウンを奪った。
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まるで水中で血の匂いをかぎつけた鮫のように、7ラウンド目開始早々、オルティスはフッカーをリング中央で迎え撃ち、ボディーへの連打を浴びせた。フッカーは明らかにダメージを負っていたが、倒れずに反撃に出ようとした。オルティスはジャブからフックをボディーにヒットさせた。フッカーはそれでも右のパンチを返したが、その直後に痛みに耐えきれず、後ろを向き、膝をマットに着けた。レフリーはここで試合を止め、このラウンド36秒が試合終了時刻となった。フッカーは右手を骨折したために試合を辞めるしかなかったと試合後に述べた。
いずれにしても、これでオルティスは147パウンド(ウェルター級)のメジャーな存在となった。そしてオルティスはタイトル戦を熱望している。
リングサイドでエロール・スペンス・ジュニア(訳者注:現WBC・IBF世界ウェルター級王者)とテレンス・クロフォード(訳者注:現WBO世界ウェルター級王者)が見つめるなか、「僕はタイトル戦に挑む準備ができている。チャンスを与えてくれるなら、どんな相手でもいい。クロフォードと戦えるなら嬉しい。彼は世界でトップに入る2人のファイターのうちの1人だ。それは分かっている。僕にとって早過ぎるかどうかはどうでもいい。クロフォードと試合がしたい」とオルティスは言い放った。
(翻訳:角谷剛)