2019年6月、無名のボクサーであったアンディ・ルイズJr.(アメリカ/メキシコ)が当時無敗だったWBA(スーパー)・WBO・IBF・IBOの統一世界ヘビー級王者アンソニー・ジョシュアを破ったニュースは”世紀の番狂わせ”として、世界中に大きな衝撃を与えた(この試合もDAZNで配信された)。
ルイズはそもそもジョシュアの対戦相手に名前が上るような選手ですらなかった。挑戦者に予定されていたジャレル・ミラー(アメリカ)が3回に渡ってドーピング検査で失格とされたことから、チャンピオンのジョシュアは、”誰でもいい”から対戦相手が必要だったのだ。ルイズは運良く巡ってきた挑戦権に足を踏み出し、ジョシュアに思いもかけない試練を与えることになった。この歴史的な番狂わせは、ひるがえって”世紀の対決”となる12月のルイズ対ジョシュアの再戦を生み出した。
結果として世界中から何百万人もの人々がDAZNでこのイベントをストリーム観戦し、2019年度にDAZNでもっとも多く視聴されたイベントとなった。ルイズはジョシュアに0-3の判定で敗れ、タイトルを防衛することはできなかったが、そのこと自体は明らかに予想された結末だった。
ルイズ対ジョシュアの再戦だけが何百万人もの視聴者を惹きつけたボクシングの試合であったわけではない。DAZNのプレスリリースによれば、2019年度最多視聴トップ10イベントのうち、4つがボクシングの試合だった。
2019年度DAZNストリーム視聴トップ10イベント:
- ルイズ対ジョシュア リマッチ (12月7日)
- UEFAチャンピオンズリーグ: トッテナム対リバプール (6月1日)
- UEFAチャンピオンズリーグ: リバプール対バルセロナ (5月7日)
- サウル・アルバレス(カネロ)対セルゲイ・コバレフ (11月2日)
- KSI対ローガン・ポール リマッチ (11月9日)
- UEFAチャンピオンズリーグ: トッテナム対バイエルン・ミュンヘン (10月1日)
- セリエA: ミラン対インテルナツィオナーレ・ミラノ (9月21日)
- UEFAチャンピオンズリーグ: アヤックス対トッテナム (5月8日)
- UEFAチャンピオンズリーグ: バルセロナ対リバプール (5月1日)
- サウル・アルバレス(カネロ)対ダニエル・ジェイコブス (5月4日)
2019年にサウル・アルバレス(カネロ)が戦った2つの試合はどちらもトップ10に入っている。4階級世界王者のカネロはダニエル・ジェイコブスとセルゲイ・コバレフを続けて破り、タイトルを防衛している。ともにユーチューバーであるKSIとポール・ローガンが11月に行った再戦も人気を集め、彼らにも集客力があることを示した。
全体としては、DAZNが世界中でもっとも多くの視聴者を獲得したスポーツはサッカーだ(3億1,460万視聴時間)。2位が野球(3,810万視聴時間)、3位がモータースポーツ(3,790万視聴時間)、4位がアメフト(3,720万視聴時間)、そして5位にボクシング(2,260万視聴時間)と続いている。
数多くのビッグ・イベントを配信することで、DAZNは2019年に大きく成長し、合計の視聴時間は5億700万に達した。この数字は前年度の2018年と比較して、98%増、2億5,600万視聴時間増にあたる。2019年度に100万以上のストリーム視聴を記録したイベント数は107に及んだ。
文=Sporting News USA
翻訳=角谷剛