北京冬季オリンピックは第14日目、現地時間の2月17日夜にフィギュアスケート女子シングル・フリースケーティングが行われ、日本代表の坂本花織が3位で銅メダルを獲得。日本女子としては3大会ぶりのメダルとなった。ドーピング疑惑で渦中のカミラ・ワリエワ(ROC=ロシアオリンピック委員会)はジャンプミスが続き4位に終わった。
カミラ・ワリエワのドーピング疑惑により、女子シングルは雑音に見舞われた。スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁決で15歳のワリエワは16歳以下の保護対象となり、またその人生を大きく左右しかねないことから女子シングルの出場が認められ、15日のショートプログラム(SP)では82.16点で1位通過となった。SPで3位(79.84点)だった坂本花織は記者会見でワリエワのことばかり質問され、困惑する場面もあった。
23番手の坂本は、冒頭のダブルアクセル(2回転半)。3回転ルッツもしなやかに決め、3回転フリップから2回転トーループ、3回転サルコーと流れるように跳び、後半のコンビネーションもきれいに着氷させた。ワリエワ問題や、前走のアレクサンドラ・トルソワ(ROC)の4回転ジャンプ5本を決める177.13点(計251.73点)という驚異的な演技のあとのプレッシャーに打ち勝つ内容で、自己ベストの153.29点をマーク。計233.13点をあげた。
アンナ・シェルバコワ(ROC)が4回転ジャンプ2本を含みながらも安定した演技で175.75点をあげた(計255.95点)時点で坂本は暫定3位。最後のワリエワ次第となったが、ドーピング問題は当然として、同僚たちの高得点を前にして心理的な影響があったのか、ジャンプを連続で失敗し、141.93点に(ドーピング疑惑が決着するまで暫定的な扱いとなる)。計224.09点に終わり、金メダルはシェルバコワ、銀メダルはトルソワ、銅メダルは坂本となった。
ほか日本勢は、SP5位だった樋口新葉は、フリーでも果敢にトリプルアクセルを決めて計214.44点の5位、SP15位の河辺愛菜は計166.73点で23位だった。
メダル候補本命とみられていた紀平梨花がケガで代表レースから離脱したことで、平昌五輪では6位だった坂本は日本女子の顔役として北京五輪に望んだが、その重圧を乗り越え、団体の銅メダルに続き、2010年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央以来の個人種目メダル獲得を成し遂げた。
3位決定後、坂本は悔しい思いを経験して得た4年間の集大成だとして喜んだが、「個人でまさかメダルとれるとは思ってなかったので、びっくりだし、うれしすぎます」と笑った。北京五輪最終日となる20日のエキシビションではその喜びを表現してくれることだろう。エキシビションには男子シングル4位の羽生結弦らも参加予定となっている。