3月13日夜、北京市の国家体育場(通称「鳥の巣」)で北京パラリンピックの閉会式が行われた。開会前から始まったロシアによるウクライナ軍事侵攻が継続したまま、10日間を全競技日程を終えるなど異例の大会になった。
今大会は4日の開会式の翌5日から競技開始し、6競技78種目が実施された。メダル獲得数はホストの中国が61個(金18、銀20、銅23)で他国を圧倒した一方、戦火に飲まれた母国から命からがら北京入りしたウクライナ勢は29個(金11、銀10、銅8)で2位で過去最多を更新。大会中に反戦を訴えるなど競技外でも話題になった。
男女29選手が参加した日本勢は、金4、銀1、銅2で計7個のメダルを獲得。平昌大会から3個減となったが、女子アルペンスキー(座位カテゴリ)の村岡桃佳が活躍した。村岡は出場全5種目でのメダル獲得はならなかったものの、金3、銀1の計4個のメダルを獲得し、日本勢としては冬季パラリンピック最多獲得数だった。
男子では、クロスカントリースキー20キロクラシカルの川除大輝が金メダルを獲得し、平昌大会の金メダリストで今大会で引退する新田佳浩に代わる同種目の新エースとして今後のさらなる飛躍が期待できる結果を出した。
現地時間20時(日本時間21時)から始まった閉会式は、北京オリンピックの開閉会式および北京パラ開会式同様、映画監督のチャン・イーモウ氏による演出で執り行われた。オープニングのパフォーマンスは、巨大なレコード針がフィールド上のレコード盤にかかり、大会のハイライト映像が流れる内容で、このレコード盤が閉会式のコンセプトになっていた。
選手団の入場は開会式と同様に国・地域名の中国語表記で1字目の画数が少ない順となり、日本は2番目に入場。旗手は開会式に続いて川除が務めた。46の国と地域の入場が終わると、しょうがい者たちの合唱パフォーマンスから次回2024年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会への引き継ぎが行われた。
その後、北京五輪パラリンピック組織委員会会長の蔡奇氏に続き、アンドリュー・パーソンズIPC会長がスピーチ壇上に立った。直接的な言及はしなかったもののロシアの軍事侵攻を念頭においた内容となり、パラリンピアンたちを称えつつ、選手村が異なる国や地域が違えど、人々が融和する場となっていたことを示唆。しょうがい者と健常者、ともに未来に向かうため、「ひとつになることによって希望を得ることができる。人々の融和と調和、そして何より大事なのは平和への希望です」と熱く語り、融和を実現した誇り高きパラリンピアンにならって世界の指導者たちがアクションを起こすことを願っていると結んだ。
そして大会ハイライト映像が中央のレコード盤が収められていくと、バイオリンの音色が流れるなか、そのレコード盤の上に巨大な雪の結晶が降り立ち、徐々に小さくなっていくと中央の聖火も静かに消えていった。最後に花火が会場上空を染め、北京パラリンピックが幕を閉じた。